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子供の患者さんが多くなっています
厚生労働省(旧厚生省)が1992〜96年に実施した「アレルギー疾患の疫学に関する研究」によると、アトピー性皮膚炎などなんらかのアレルギー疾患になっている人は、乳幼児が28.3%、小中学生32.6%、大人(高校生以上)30.6%で、国民の約3人に1人がアレルギー疾患をもっていることが明らかになりました。
アトピー性皮膚炎の調査では、厚生労働省の研究社が2000〜02年に全国8地区の生後4ヶ月から大学1年生まで(4万8072人)の有症率について調べたところ、もっとも高かったのは3歳児で13.2%、次いで4ヶ月児が12.8%、小学1年生は11.8%という結果になりました。
さらに、アトピー性皮膚炎を発症している子どもの割合について、1981年から97年にかけて愛知県の4歳から15歳までを調べたところ、81年は2.8%でしたが、92年は6.6%となり、約10年間で2倍以上に増加していることがわかりました。
アトピー性皮膚炎をふくむアレルギー疾患は、増加の一途をたどっています。
これは日本に限ったことではなく、世界的に共通していることのようです。
しかし、興味深いことに2008年現在では、わが国の気管支ぜんそくや花粉症はまだ増加しつつありますが、アトピー性皮膚炎は横ばいになっています。
1〜5歳以下で発症する人がほとんどです
アトピー性皮膚炎は、発症してから治るまでの過程に個人差がありますが、大きく4つのパターンに分かれます。
まず発症の時期ですが、乳幼児期が多くなっています。
最近の調査では、1歳以下で発症するケースが全体の50〜60%、5歳以下では80%となっています。
1歳以下といっても生まれてすぐに発症することはほとんどなく、生後2〜3ヶ月ほどで症状が出始めます。
次に、治るまでの過程ですが、ほとんどのケースでよくなったり、再発したりを繰り返しながら、成長に伴って自然に治っていきます。
急激によくなるケースもあれば、ゆっくりと治っていくケースもあります。
また、最近では、大人になってもずっとアトピー性皮膚炎を患っている、いわゆる重症化するタイプや、大人になって突然、再発するようなタイプなども増えています。
しかし、全体から見るとそれほど多いというわけではありません。
皮膚の働きと仕組みを知りましょう
では、どうしてアトピー性皮膚炎がおこるのでしょうか。
皮膚の働きやしくみについてお話ししましょう。
皮膚は、外部からの刺激や異物などから体を守る働きをしている重要な臓器です。
また、体内の水分は生命の活動にとてもたいせつなもので、これを逃さないように保持して、蒸発させないようにしています。
さらに、「皮膚は内臓の鏡」といわれます。
私たちが見ることのできない体内のさまざまな臓器の異常や病気を映し出してくれることもあります。
皮膚の構造は、表皮、真皮、皮下脂肪組織の3層に分かれています。
表皮の外側にある組織が角層(角質層)です。
ここには、角質細胞が10〜20層ほど、ちょうど建築材料のレンガのように重なっていて、時間がたつ(約2週間)と上の層から順にあかとなってはがれ落ちます。
こうして皮膚の新陳代謝が繰り返されています。
角質細胞の間は、セラミドという角質細胞間脂質で埋めつくされています。
角質細胞がレンガだとすると、セラミドはレンガどうLをくっつけるセメントのようなものです。
建物の場合、レンガが規則正しく並んで、その間をセメントでしっかりくっつけていれば、そう簡単に崩れることはありません。
しかし、レンガの置き方がバラバラで、しかもセメントも十分に使っていなかったらどうなるでしょうか。
その建物はもろく、すき問からさまざまなものが出入りします。
実は、アトピー性皮膚炎の皮膚では、これと同じようなことがおこっています。
皮膚の外側と内側の両方が関係します
アトピー性皮膚炎は、皮膚の外側から来る刺激に対して皮膚の内側が過剰反応を示し、皮疹やかゆみなどの症状が現れるものです。
ここには、外側からの刺激を容易に受けやすい体質(皮膚のバリア機能の低下)と、ちょっとした刺激でアレルギー反応をおこしやすい体質 (アトピー素因) とがかかわっています。
つまり、アトピー性皮膚炎には、皮膚の外側と内側の両方が関係していることになります。
まずは、外側の要因である皮膚のバリア機能の低下について説明しましょう。
先にお話ししたように角質細胞の間をセラミドがきちんと埋めていれば、体内の水分を逃したり、外の異物が侵入したりすることはありません。
ところが、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚では、セラミドがふつうの人より少ないことがわかっています。
角層の構造がもろく、水分を逃しやすいため、乾燥肌になってしまうと考えられます。
ちなみに、このような皮膚の乾燥状態を専門的には、「アトピー性ドライスキン」と呼んでいます。
また、アトピー性皮膚炎の患者さんと健康な人の皮膚で、一定期間内に蒸発する水分の量を比べたところ、アトピー性皮膚炎の患者さんのほうがたくさんの水分が失われることもわかりました。
角層が薄く、もろいということは、外部の刺激や異物も容易に入り込みやすいということになります。
また、角層のある表皮には、かゆみを感じる神経がいくつも延びています。
そのため、角層が薄くなるほど、外部と神経細胞の先との距離は短くなります。
つまり、皮膚のちょっとした刺激がすぐに神経細胞に伝わり、かゆみにつながりやすいのです。
さらに、かゆいからといってかいてしまうと、皮膚に傷ができて角層がさらに弱くなります。
皮膚がいっそう過敏になって、かゆみが増すという悪循環に陥ってしまいます。
「アトピー素因」は、アレルギー体質の一つです
次に「アトピー素因」について説明しましょう。
アトピー素因とは、アレルギー体質の一つです。
アトピー性皮膚炎の患者さんの約8割にアトピー素因がみられます。
残りの約2割の人は、アトピー素因をもっていないにもかかわらず、アトピー性皮膚炎を発症しています。
つまり、アトピー素因はアトピー性皮膚炎になる可能性を高める要因ではありますが、アトピー性皮膚炎を決定づける条件ではないのです。
私たちの体には、細菌や化学物質など外部から体内に侵入した異物や有害物を排除して、体を守る免疫というシステムが備わっています。
ところが、アレルギー体質の人には、生まれつき特別な免疫のシステムが備わっていて、多くの人にとって無害なものも、有害(抗原)ととらえやすくなっています。
そして、これらを過剰に排除しようと働くため、アレルギー反応がおこってしまいます。
しかも、アトピー性皮膚炎の患者さんは、もともと皮膚のバリア機能が低いという体質も併せもっています。
そのため、ほんのささいな異物も刺激物とみなされてアレルギー反応がおこってしまうのです。
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