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重症度の分類の仕方
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皮膚で生じる特殊な免疫のシステム
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アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患ではない
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合併しやすい胃の感染症に気をつけましょう
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アトピー性皮膚炎は、データだけでは理解できない
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アトピー性皮膚炎の重症度は変化します
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アトピー性皮膚炎はアレルギーの病気?
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アトピーとアトピー性皮膚炎は同じもの?
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成人のアトピー性皮膚炎は合併症を引き起こす?
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子供の患者さんが多くなっています
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アレルギーについて
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成人のアトピー性皮膚炎
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アトピー性皮膚炎の正しい理解
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アトピー(アレルギー)体質とは遺伝する?
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重症度の分類の仕方
重症度は、「皮疹の状態」「炎症の程度」「患部の広さ」によって決まります。
分類は、もっとも重症の状態が最重症で、重症、中等症、軽症の順に軽くなっていきます。
アトピー性皮膚炎は、体全体に症状が現れることが少なくありません。
そのため、体にできた皮疹を見て、「重症かもしれない」と不安に思ってしまう人もいるかもしれません。
しかし実際のところは、「強い炎症がおこっている部分が、体のどれくらいの範囲に広がっているか」という程度と広さのバランスが大事なポイントです。
全身に皮疹が出ていても、かゆみが強い範囲があまり広くなければ軽症です。
また、体の一部分だけでも、そのすべてにひどいかゆみが出ているようであれば、中等症や重症になる可能性もあります。
「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2005」では、最重症、重症、中等症、軽症の判定は、次のように定めています。
- 【最重症】 強い炎症を伴う皮疹が体表面積の30%以上
- 【重 症】 強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10〜30%未満
- 【中等症】 強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10%未満
- 【軽 症】 面積にかかわらず、軽度の皮疹のみがみられる
重症度にある「強い炎症を伴う皮疹」とは、皮膚が赤く盛り上がる(紅斑、丘疹)、ジクジクした湿疹(浸潤)、象の皮膚のように厚く、硬くなった状態(苔癖化)を指します。
ちなみにこれらの皮疹では、かゆみが強いため、勉強や仕事が手につかない、眠れないといった状態になり、生活の質が下がってしまいます。
また、皮膚科では、日本皮膚科学会がまとめた「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」のなかにあるアトピー性皮膚炎重症度分類に沿って、もう少し専門的に重症度を判定します。
実際には、最重症や重症と診断されるのは全体の5%以下で、残りの95%以上は中等症、軽症のなかにふくまれます。
最重症や重症には2つのケースがあります
最重症や重症のなかには、「アトピー性皮膚炎の状態が本当に悪い人」と「適切な治療を行わなかったために、病気をこじらせて悪化させてしまった人」がいます。
前者の治療はむずかしいですが、紫外線療法、ステロイド薬の内服、免疫抑制薬(シクロスポリン:商品名ネオーラル)の内服を外用療法と上手に組み合わせることによってコントロール可能です。
しかし、後者はしっかりと治療するとほとんどのケースで症状が改善します。
最初の診察では、実は患者さんがどちらのタイプなのか見極めがつきません。
そのため、以前にアトピー性皮膚炎の治療を受けたことがある場合は、これまでどのような治療をしてきたか、使用していたステロイド外用薬の量や薬剤名、使っていた期間、タクロリムス外用薬(商品名プロトピック軟膏)を使用したことがあるかないかなどを、受診する病院の医師にきちんと話すことがたいせつです。
カテゴリー:アトピー性皮膚炎ってどんな病気?
皮膚で生じる特殊な免疫のシステム
皮膚で生じる特殊な免疫のシステム、アレルギー反応とは、具体的にどのようにしておこるのでしょうか。
アレルギー反応にかかわっているのは、IgE(免疫グロブリンE)という抗体です。
なんらかの理由で体のなかにアレルゲン(抗原)が入ってくると、免疫細胞の一つであるB細胞が、免疫の司令塔ともいえるT細胞の号令のもとに、IgEをつくり出します。
このIgEがかなりのくせ者です。
皮膚や気道の粘膜、腸管の粘膜に存在している肥満細胞にくっついて、その細胞内に蓄えられているヒスタミンなどのかゆみ物質を放出させます。
そして、これらが表皮の角層に延びているかゆみの神経細胞の受容体と結合して、かゆみをもたらすのです。
このようなアレルギー反応のメカニズムをもとに考え出されたのが、ステロイド外用薬、タクロリムス外用薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などの薬や、紫外線療法です。
ステロイド外用薬、タクロリムス外用薬、紫外線療法は、司令塔であるT細胞の働きを抑えます。
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は、ヒスタミンがかゆみの神経細胞にくつつくのを阻止することで症状を改善させます。
カテゴリー:アトピー性皮膚炎ってどんな病気?
アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患ではない
いささか唐突ですが、「アトピー性皮膚炎はアレルギーの病気(アレルギー疾患)ではない」。
こうお話ししたら、驚かれる人が多いのではないでしょうか。
しかし、これはかなり本当のことなのです。
アレルギー疾患は、アレルギー体質をもっている人に発症する病気です。
ところが、アトピー性皮膚炎の場合、実際に血液検査をしてみると、8割ぐらいの患者さんはたしかに「アトピー素因(アレルギー体質の一つ)」をもっていますが、残り2割の患者さんはこうした体質をもっていなくてもアトピー性皮膚炎を発症しています。
また、アレルギー疾患はアレルゲンを除去することで症状がおさまります。
花粉症や食物アレルギーがまさにそうですが、花粉が飛ばない時期なら花粉症に悩まされることはなく、症状をおこす食べ物を口にしなければ食物アレルギーはおこりません。
しかし、アトピー性皮膚炎は、血液反応で陽性になるアレルゲンを除去したとしても、症状を完全に抑えることができません。
ですから、アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患というより、「なんらかの要因でおこる皮膚の病気で、アトピー素因がかかわる場合がある」というのが正しいのです。
実際、「アトピー性皮膚炎という病名は本来の病態とは違い、患者さんの誤解を招いている」と考えている専門家も少なくありません。
こうした誤解を少しでも解くことができたらという思いで日々、医者は診療にあたっています。
「保湿」をすることが大事です
アトピー性皮膚炎はなんらかの要因でおこる皮膚の病気と書きましたが、では、なにが要因なのでしょうか。
それは、皮膚の弱さ、もろさです。
皮膚には外界の異物を体のなかに入れないようにする、あるいは体内の水分を外に出さないようにする「バリア機能」が備わっています。
たまたまそのバリア機能が弱い体質の人がいて、そういう人がアトピー性皮膚炎を発症してしまうのだと思います。
バリア機能が弱いとアトピー性皮膚炎になるということは、バリア機能を高めればアトピー性皮膚炎はよくなるという意味でもあります。
そして、バリア機能を補うために必要なのが保湿です。
考えてみれば、私たちは胎児のとき、羊水に浸かっていました。
胎児には皮膚炎がありませんが、それは皮膚が羊水という水で守られていたからです。
これと同様、バリア機能が弱い皮膚には保湿をしっかりとして、バリア機能を補えばよいのです。
当サイトは「アトピー性皮膚炎の治療は保湿で始まり、保湿で終わる」という考え方をもとに、効果的な保湿外用薬の使い方、皮膚を乾燥させないスキンケアのポイントなどを紹介しています。
もちろん、アトピー性皮膚炎の患者さんがもっとも気になるステロイド外用薬についても、塗り方、適量などを示すとともに、副作用についてもわかりやすく説明しています。
また、最新のタクロリムス外用薬(商品名プロトピック軟膏)の使い方や、重症・最重症の患者さんの治療についてもふれています。
当サイトをアトピー性皮膚炎に悩む患者さんやそのご家族のお役に立てていただければ、たいへんうれしく思います。
カテゴリー:アトピー性皮膚炎ってどんな病気?
合併しやすい胃の感染症に気をつけましょう
アトピー性皮膚炎になると、皮膚の一部のバリア機能が壊れてしまうため、皮膚の感染症にかかりやすくなります。
原因となるのは、黄色ブドウ球菌、溶血性レンサ球菌、単純ヘルペスウイルス、ボックスウイルスなどで、これらによる「伝染性膿痂疹」「カポジ水痘様発疹症」「伝染性軟属腫」が合併しやすい感染症です。
いつもと違った皮疹の状態には注意し、異常に気づいたらすぐに受診しましょう。
伝染性膿痂疹
多くは、黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌によって発症し、「とびひ」とも呼ばれる感染症です。
どちらも日常どこにでも菌で、健康な人がけがをしたときに感染することがあります。
菌の量が少なければ問題はありませんが、菌数が増加すると皮疹を悪化させて、アトピー性皮膚炎の治療効果が上がらなくなります。
医師から感染を指摘されたら、シャワーやお風呂で皮疹のある部分を刺激の少ない石鹸で洗って、皮膚を清潔に保つことがたいせつです。
カポジ水痘様発疹症
単純ヘルペスウイルスによる感染症です。
健康な人では、唇など体の一部に発疹ができて軽症ですみますが、アトピー性皮膚炎になっているとウイルスが全身に広がり、発熱やリンパ腺が腫れるカポジ水痘様発疹症になり、重症化するおそれがあります。
このウイルスによる症状は、痛みのある水痘(水ぶくれ)が特徴です。
感染がわかったら基本的には入院して、抗ウイルス薬の治療(点滴や飲み薬)をします。
そのときはいったんアトピー性皮膚炎の治療を休み、感染症が治ってから治療を再開します。
伝染性軟属腫
伝染性軟属腫は「みずいぼ」とも呼ばれ、ボックスウイルスによる感染症です。
感染した部分に触ることで移る接触感染が特徴です。
体にブツブツの小さないぼがたくさんできるので、触らないようにします。
発症したときは、医師が穿刺器具(ピンセットのようなもの)で一つひとつ取るなどの治療をしていきます。
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アトピー性皮膚炎は、データだけでは理解できない
病気にはデジタル病とアナログ病がある
今日、多くの病気は、検査で得られたデータで病名がわかり、その数値の変動で経過をたどることができるので、治療法についても決定することができます。
このようにデータでその病気について理解でき、判断、決定できる病気のことを、私は「デジタル病」と呼んでいます。
一方で、こうしたデータでは理解できないため.症状を見ることで病名、冶療法を判断しなければならない病気、それを「アナログ病」と呼びます。
アナログ病は症状の現れ方を見て診断するので、データの数値だけで判断、説明することができない病気です。
その典型的な病気のひとつが、アトピー性皮膚炎です。
アトピー性皮膚炎は.遺伝子的な原因がありますし、また環境の中のさまざまな原因が複雑に絡み合っていて、同じような検査結果のデータが出ていても、人によっていくつかの症状の現れ方があります。
病気に関するデータをコンピュータに人力しても、なぜ発症したのか、どういう治療法をすれば症状が軽快できるのか、データで説明したり、画一的に判断することができません。
しかしそれでは困るので 重症度の判定基準が作られようとしていますが、そうそう簡単にはデジタル化できるものではありません。
検査値のデータで判断できるデジタル病ならば、一定の数値を超えると重症と判定されるなど、数値の裏付けによって判断することかてきます。
しかしアナログ病の場合、たとえばアトピー性皮膚炎ならば、各湿疹部の皮膚症状をデジタルデータで表し、重症度についてランクづけしても、スコア化された皮膚症状が重症であるのに、見たところの皮膚症状(臨床症状)は中等症であるなど、データと目に見える症状の関連付けが難しいことがあります。
このように裏付ける数値がとれない.、データだけで判定できないのがアナログ病の特徴です。
どんな症状が現れているかで判断せざるを得ない病気
症状を見て、病名、治療法を判断するアナログ病をデータ数値で分析するデジタル病のように理解しようとすることには無理があり、治療法に対する誤解が生じることにもなりかねません。
たとえば、アトピー性皮膚炎の患者さんがシャンプー、リンスが原因で湿疹がひどくなっているのに、IgE検査の数値が高かったからと、食べ物やダニ、ほこりばかりに気をつけていても、症状はいっこうによくならないはずです。
アナログ病で注意しなければならないのは、さまざまな原因があるにもかかわらず、病名が一つであるために、すべて同一の対処をしてしまうことです。
一つの症状も、複数の原因が絡み合って症状が現れている場合もあるため、それをデータだけを頼りに、決まった対処の仕方をしないこと。
その人の体質や生活環境なども含めて症状を診ていくなど、一人の患者さんを多角的に診ることが求められるのです。
こうしたアナログ病の特性を考えると、アトピー性皮膚炎の患者さんは、データに頼らずに、症状を診て判断し、的確な治療法を決定していくことのできる、いわば「職人の技」をもった医師を選ぶのがよいでしょう。
カテゴリー:アトピー性皮膚炎ってどんな病気?
アトピー性皮膚炎の重症度は変化します
アトピー性皮膚炎は診断のときに重症度を判定して、それをもとに治療方針を決めていきます。
しかし、実際の患者さんの症状は、ずっと同じというわけではありません。
重症度は変化するものです。
たとえば、少し前までは重症だったけれど、今はだいぶよくなって、軽症まで回復しているケースもあれば、その道に軽症であったけれど、悪化して今は重症になっているケースもあります。
このようにアトピー性皮膚炎は、治療を続けていても、症状が軽快したり、悪化したりすることが特徴の一つです。
したがって、治療の進め方も、最初に重症と診断されたからずっと重症の治療を続けるというわけではなく、現時点の症状に応じて、使用するステロイド外用薬の強さやそのほかの補助的な治療法を見直して、臨機応変に、きめ細かく加減していきます。
最初の重症度にとらわれず、アトピー性皮膚炎は、病状が変化するということをよく理解して、治療に臨むことがたいせつです。
カテゴリー:アトピー性皮膚炎ってどんな病気?
アトピー性皮膚炎はアレルギーの病気?
アレルギーの病気というよりも「生活環境病」であると考えます。
アトピー性皮膚炎の患者さんの血液を調べると、多くの人のIgE値が高くなっています。
このデータから「アトピー性皮膚炎はアレルギーの病気である」と判断されることがありますが、私はそう判断しません。
現在、日本人の5、6人に一人がアトピー性皮膚炎であるといわれていますが、本来アレルギー疾患というのは、何千人に一人といった、特異な体質の人に起こるものです。
アトピー性皮膚炎の患者さんの数ほどアレルギー体質の人がいるとは考えられません。
むしろ、IgEなどの免疫系に異常をきたすような中毒反応が生活環境の中で起こっているのではないかと考えます。
それにアトピー性皮膚炎の患者さんが増え、注目を浴びるようになったのは、各家庭に内風呂ができたり、公団住宅やマンションなど新しいスタイルの住居が日本人のライフスタイルを大きく変えた時期とも一致します。
住環境の変化が著しい時期から一気に患者さんも増加したことを考えると、住環境はアトピー性皮膚炎の発症に大きな影響を与えているといえるでしょう。
このことから、住環境と生活を皮膚によい環境に改善していけば、症状も軽快するのではないかと考えることができると思います。
つまり現代の生活それ自体がおかしいのではないか、と疑問をもち、皮膚によいと思われることは昔の暮らし方に戻して、それを実行していこうというものです。
たとえば、日光浴をして遊び、風通しのよい昔ながらの木造家屋に住むなど、人糞を肥料にしていたころのような暮らし方で過ごすという考え方です。
それは、自然に恵まれた田舎の生活がひとつのお手本になるかもしれません。
田舎での生活はまだ昔ながらの環境、暮らし方が残っていて、そのためか都会に暮らす人よりも田舎に住む人のほうがアトピー性皮膚炎になる率は低いのです。
花粉症もそうです。
田舎のほうが自然に恵まれている分、花粉も多いはずですが、やはり花粉症に苦しむのは、田舎に暮らす人のほうが都会に暮らす人よりも少ないのです。
これは花粉をたくさん吸うほうが、脱感作(※)して、花粉症にかからなくなるということでしょうか。
この脱感作の考え方でいけば、都会に暮らす人も、花粉をたくさん吸うことで花粉症にかからなくなることになりますが、実際はそうではありません。
ではなぜ都会の人のほうが花粉症になるのか、それは何か別の原因で免疫の撹乱が起こるのではないかと考えてみる必要があります。
原因として考えられるものは、自動車の排気ガスやプールの水の汚染などがあげられると思います。
これは、環境が人工的なものに変化し、それにともない自然環境に対応するために人間がつけてきた免疫力がうまくはたらかなくなってしまったと考えることができると思います。
※ 脱感作 アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ次第に増量しながら定期的に注射したり、経口的に内服したりして過敏性を除去する療法。
気管支ぜんそく・蕁麻疹・アレルギー性鼻炎などに対して行う。
カテゴリー:アトピー性皮膚炎ってどんな病気?
アトピーとアトピー性皮膚炎は同じもの?
「アトピー」の人がみんな「アトピー性皮膚炎」とは限りません。
「私、アトピーなんです」といって診察に来るアトピー性皮膚炎の患者は結構いらっしゃいます。
そのなかには、アトピー性皮膚炎ではあるけれど「アトピー」でない方もいるそうです。
これは多くの方に誤解されがちなのですが「アトピー」は「アトピー性皮膚炎」の省略名ではなく、「アトピー」イコール「アトピー性皮膚炎」ではないのです。
「アトピー」とは、アレルギーのなかでも、遺伝的体質が原因で起こしやすいアレルギー反応のことで、そのなかでも、アレルゲンが体内に入ってから短時間で反応が起こる即時型のぜんそくやアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などのアレルギー反応のことを指します。
では、アトピー性皮膚炎の患者さんが皆さん、ぜんそくやアレルギー性鼻炎を起こしやすい遺伝的因子、「アトピー素因」をもっているかというと、そうとは限らないのです。
アトピー性皮膚炎は、もともと皮膚炎を起こしやすい素因をもっている人が、汗や化学物質、洗剤など生活の中のさまざまな誘因が加わったときに発症するというケースが多いようです。
つまり、必ずしもアレルギー体質の人がみんなアトピー性皮膚炎になるというものではないのです。
では、なぜアトピー性皮膚炎には「アトピー」という名がついているのでしょうか?
それば今から約80年前の1923年にコッカとクックという医師が、アレルギー疾患を正常型と異常型に分類し、異常型のなかでも特殊で遺伝的なものを「アトピー性疾患」と名付けたことに始まります。
それから10年後、アメリカの著名な皮膚科医のサルツバーガー氏が、湿疹を分類する際に、原因や治療法のわからない湿疹を「その他」という範ちゅうに分類し、それを「アトピー性皮膚炎」と名付けました。
その後、アトピー性皮膚炎(Atopic Dermatitis)と、アトピー性疾患(Atpic Disease)の2つの名称がよく似ているために、2つが混同されるようになったのです。
しかし、「アトピー性疾患」とは、アレルゲンが体内に入ると症状が現れる病気であり、「アトピー性皮膚炎」は、検査で陽性と出たアレルゲンが体内に入ってすぐに症状が現れるとは限らない病気です。
こうした「アトピー」という名による混乱を避けるためにも、当サイトでは「アトピー性皮膚炎」と「アトピー」は区別して表現します。
カテゴリー:アトピー性皮膚炎ってどんな病気?
成人のアトピー性皮膚炎は合併症を引き起こす?
目に起こる合併症
アトピー性皮膚炎は、湿疹がかゆくて、ついかいてしまうことから、皮膚の感染症など起こしやすくなります。
また皮膚以外にも合併症を引き起こすことがあります。
とくに重大な合併症として、「白内障」「緑内障」「網膜剥離」などの目の症状があります。
目の合併症は、目のまわりに湿疹がある場合、強いかゆみがあるため、目を強くたたいたり、こすったりすることが原因となる場合もありますので、かゆくてもたたいたり、こすったりしないように気をつけてください。
そして、かゆみを抑えるためにも早く治療を受けてください。
目の病気は、自覚症状がないこともあり、また進行が速いケースもあるので、とくに異常を感じていないという方も、必ず眼科で定期検診を受けるようにしてください。
カポジー水痘様発疹
アトピー性皮膚炎の皮膚はバリアが壊れているので、細菌やウイルスに感染しやすくなっています。
「カポジー水痘様発疹」は、アトピー性皮膚炎の湿疹が出ているところに単純ヘルペスウイルスが感染したときに発症するものです。
症状は、湿疹のところに大小の水癌ができ、そのまわりが赤く腫れます。
熱が出てリンパ節が腫れることもあります。
顔面にできた場合、眼部に広がると角膜ヘルペスになることもあるので、適切な治療を受けましょう。
初感染では全身症状が強く現れ、重症の場合は入院する必要があります。
よく効く薬がありますから、重症になる前に皮膚科で治療を受けるようにしましょう。
カテゴリー:アトピー性皮膚炎ってどんな病気?
子供の患者さんが多くなっています
厚生労働省(旧厚生省)が1992〜96年に実施した「アレルギー疾患の疫学に関する研究」によると、アトピー性皮膚炎などなんらかのアレルギー疾患になっている人は、乳幼児が28.3%、小中学生32.6%、大人(高校生以上)30.6%で、国民の約3人に1人がアレルギー疾患をもっていることが明らかになりました。
アトピー性皮膚炎の調査では、厚生労働省の研究社が2000〜02年に全国8地区の生後4ヶ月から大学1年生まで(4万8072人)の有症率について調べたところ、もっとも高かったのは3歳児で13.2%、次いで4ヶ月児が12.8%、小学1年生は11.8%という結果になりました。
さらに、アトピー性皮膚炎を発症している子どもの割合について、1981年から97年にかけて愛知県の4歳から15歳までを調べたところ、81年は2.8%でしたが、92年は6.6%となり、約10年間で2倍以上に増加していることがわかりました。
アトピー性皮膚炎をふくむアレルギー疾患は、増加の一途をたどっています。
これは日本に限ったことではなく、世界的に共通していることのようです。
しかし、興味深いことに2008年現在では、わが国の気管支ぜんそくや花粉症はまだ増加しつつありますが、アトピー性皮膚炎は横ばいになっています。
1〜5歳以下で発症する人がほとんどです
アトピー性皮膚炎は、発症してから治るまでの過程に個人差がありますが、大きく4つのパターンに分かれます。
まず発症の時期ですが、乳幼児期が多くなっています。
最近の調査では、1歳以下で発症するケースが全体の50〜60%、5歳以下では80%となっています。
1歳以下といっても生まれてすぐに発症することはほとんどなく、生後2〜3ヶ月ほどで症状が出始めます。
次に、治るまでの過程ですが、ほとんどのケースでよくなったり、再発したりを繰り返しながら、成長に伴って自然に治っていきます。
急激によくなるケースもあれば、ゆっくりと治っていくケースもあります。
また、最近では、大人になってもずっとアトピー性皮膚炎を患っている、いわゆる重症化するタイプや、大人になって突然、再発するようなタイプなども増えています。
しかし、全体から見るとそれほど多いというわけではありません。
皮膚の働きと仕組みを知りましょう
では、どうしてアトピー性皮膚炎がおこるのでしょうか。
皮膚の働きやしくみについてお話ししましょう。
皮膚は、外部からの刺激や異物などから体を守る働きをしている重要な臓器です。
また、体内の水分は生命の活動にとてもたいせつなもので、これを逃さないように保持して、蒸発させないようにしています。
さらに、「皮膚は内臓の鏡」といわれます。
私たちが見ることのできない体内のさまざまな臓器の異常や病気を映し出してくれることもあります。
皮膚の構造は、表皮、真皮、皮下脂肪組織の3層に分かれています。
表皮の外側にある組織が角層(角質層)です。
ここには、角質細胞が10〜20層ほど、ちょうど建築材料のレンガのように重なっていて、時間がたつ(約2週間)と上の層から順にあかとなってはがれ落ちます。
こうして皮膚の新陳代謝が繰り返されています。
角質細胞の間は、セラミドという角質細胞間脂質で埋めつくされています。
角質細胞がレンガだとすると、セラミドはレンガどうLをくっつけるセメントのようなものです。
建物の場合、レンガが規則正しく並んで、その間をセメントでしっかりくっつけていれば、そう簡単に崩れることはありません。
しかし、レンガの置き方がバラバラで、しかもセメントも十分に使っていなかったらどうなるでしょうか。
その建物はもろく、すき問からさまざまなものが出入りします。
実は、アトピー性皮膚炎の皮膚では、これと同じようなことがおこっています。
皮膚の外側と内側の両方が関係します
アトピー性皮膚炎は、皮膚の外側から来る刺激に対して皮膚の内側が過剰反応を示し、皮疹やかゆみなどの症状が現れるものです。
ここには、外側からの刺激を容易に受けやすい体質(皮膚のバリア機能の低下)と、ちょっとした刺激でアレルギー反応をおこしやすい体質 (アトピー素因) とがかかわっています。
つまり、アトピー性皮膚炎には、皮膚の外側と内側の両方が関係していることになります。
まずは、外側の要因である皮膚のバリア機能の低下について説明しましょう。
先にお話ししたように角質細胞の間をセラミドがきちんと埋めていれば、体内の水分を逃したり、外の異物が侵入したりすることはありません。
ところが、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚では、セラミドがふつうの人より少ないことがわかっています。
角層の構造がもろく、水分を逃しやすいため、乾燥肌になってしまうと考えられます。
ちなみに、このような皮膚の乾燥状態を専門的には、「アトピー性ドライスキン」と呼んでいます。
また、アトピー性皮膚炎の患者さんと健康な人の皮膚で、一定期間内に蒸発する水分の量を比べたところ、アトピー性皮膚炎の患者さんのほうがたくさんの水分が失われることもわかりました。
角層が薄く、もろいということは、外部の刺激や異物も容易に入り込みやすいということになります。
また、角層のある表皮には、かゆみを感じる神経がいくつも延びています。
そのため、角層が薄くなるほど、外部と神経細胞の先との距離は短くなります。
つまり、皮膚のちょっとした刺激がすぐに神経細胞に伝わり、かゆみにつながりやすいのです。
さらに、かゆいからといってかいてしまうと、皮膚に傷ができて角層がさらに弱くなります。
皮膚がいっそう過敏になって、かゆみが増すという悪循環に陥ってしまいます。
「アトピー素因」は、アレルギー体質の一つです
次に「アトピー素因」について説明しましょう。
アトピー素因とは、アレルギー体質の一つです。
アトピー性皮膚炎の患者さんの約8割にアトピー素因がみられます。
残りの約2割の人は、アトピー素因をもっていないにもかかわらず、アトピー性皮膚炎を発症しています。
つまり、アトピー素因はアトピー性皮膚炎になる可能性を高める要因ではありますが、アトピー性皮膚炎を決定づける条件ではないのです。
私たちの体には、細菌や化学物質など外部から体内に侵入した異物や有害物を排除して、体を守る免疫というシステムが備わっています。
ところが、アレルギー体質の人には、生まれつき特別な免疫のシステムが備わっていて、多くの人にとって無害なものも、有害(抗原)ととらえやすくなっています。
そして、これらを過剰に排除しようと働くため、アレルギー反応がおこってしまいます。
しかも、アトピー性皮膚炎の患者さんは、もともと皮膚のバリア機能が低いという体質も併せもっています。
そのため、ほんのささいな異物も刺激物とみなされてアレルギー反応がおこってしまうのです。
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アレルギーについて
アレルギー反応は即時型と遅延型がある
皮膚のアレルギー反応は、原因物質にさらされてから、発疹が出てくるまでの時間的経過を基準にして、即時型の反応と遅延型の反応に分類されます。
即時型の反応の代表がじんましんです。
じんましんの現れ方は、食べ物でも、花粉のような吸入して体内に入ってくる抗原でも、そのものに出合うと、数分から数時間以内にじんましんが出てきます。
花粉症の目や鼻のアレルギーも、気管支喘息もこの即時型の反応です。
検査を行う場合も、即時型反応の抗体は血管の中を流れているので、すぐに反応が現れます。
じんましんや湿疹の診断に用いられる皮内反応は、抗原液を皮内に注射して、15〜20分以内に判定します。
抗原液を皮膚にたらして、そこにひっかき傷をつくって判定するスクラッチテストや針で軽く刺すプリップテストも15〜20分以内に反応が陽性になります。
一方、遅延型の反応の代表が湿疹です。
ウルシかぶれのような湿疹反応は、原因物質に触れても、すぐに反応は起こってきません。
24時間から48時間かかって湿疹反応が起こります。
つまり反応(湿疹)が現れるまで時間がかかるので、遅延型の反応と呼ばれるわけです。
なぜ反応が遅くなるのでしょうか?
それは、原因物質に触れたとき、その情報がからだの中に入って、所属のリンパ腺まで伝えられ、抗体があれば、情報の侵入部位にリンパ球が集まってきて、湿疹反応が起こるという一連の流れがあるためです。
このように、外からの抗原の情報がリ.シバ球に伝えられて、抗体をもったリンパ球が移動してくるために時間がかかるのです。
即時型に比べ、検査にも時間がかかります。
パッチテストのために皮膚に抗原物質を48時間貼るのも、ツベルクリン反応の判定を48時間後に行うのも、遅延型反応を判定するテストだからです。
アレルギー反応を5つに分類する方法
アレルギー反応に関する免疫のメカニズムで、アレルギーを以下のI〜V型までの5つに分類しています。
I型は壇Eが関与した反応で、ぜんそく、じんましん、薬疹とアトピー性疾患が挙げられています。
のちほど説明しますが、アトピー性皮膚炎に関しては議論のあるところです。
�U型アレルギーは、異型輸血や橋本病などの発症の仕組みについて説明する免疫メカニズムです。
�V型アレルギーは抗原、抗体、補体で免疫複合体を形成し、起こる免疫反応で、全身性エリテマトーデス、アレルギー性血管炎などの疾患で認められます。
�W型アレルギーは湿疹で代表されるTリンパ球が関与した遅延型反応として見られるアレルギー性接触皮膚炎などに代表される疾患の反応メカニズムです。
V型アレルギーは、ホルモン受容体の近くで反応する抗体ができると、ホルモン分泌を促進して起こる反応のことで。
これは特殊な反応メカニズムです。
IgEとアトピー性皮膚炎
IgEはI型アレルギーの反応をつかさどる免疫グロブリンです。
�T型アレルキーは即時型の反応です。
アトピー性皮膚炎は湿疹反応ですから、�W型アレルギーであるはずです。
それなのに、どうして�T型アレルギーとされているのでしょうか?
これは、アトピー性皮膚炎患者の80%以上の人にIgEの高い値が測定されており、アトピー性皮膚炎は、IgEが発症メカニズムに関係した特殊なタイプの湿疹と考える学者が多いからです。
IgEが高くなくても、その症状からアトピー性皮膚炎と診断できる患者さんが20%近くいます。
このことに意味があると考えているグループがあります。
欧米、とくにアメリカ、日本でもこのグループに属している研究者がいます。
IgE値が上昇することにより、皮膚の表面は防御機構、バリア機構の低下が最初に起こり、IgEの上昇などのアレルギーの混乱が二次的に起こったのだと考えるのです。
表皮のバリア機能の低下は、アトピー性皮膚炎患者さんの全員の病巣部はもちろん、病巣のないところにも認められます。
この変化をもっとも注目すべき点と考えます。
皮膚をひっかいたり、慢性に経過する湿疹病巣があると、IgE値は上昇します。
IgE値の上昇値の変化を病気別に見てみると、気道アレルギーでは2000〜4000くらい、気管支ぜんそくだと5000〜6000から1万くらいです。
アトピー性皮膚炎の場合、症状が悪化していると、2万や3万の値が出るということもあります。
ところが、そんなに上がったIgE値も、入院して湿疹が治まると、1週間くらいで数千にまで下がることもよくあります。
このように、IgE値の変動と皮膚の状態はよく同調するのです。
この場合、先に変化するのは皮膚であると考えられます。
こうしたことから、アトピー性皮膚炎を治療するという立場からは、皮膚の湿疹変化を治すことで、全身的なIgEの異常も治せると考えるわけです。
医師はアトピー性皮膚炎を治したいと考えていますし、少しでも単純な方法で治したいという立場をとっています。
ですからこの病気が遺伝的な免疫異常が原因でできたものとは考えたくないのです。
もし、アトピー性皮膚炎という病気が、環境のさまざまな問題が影響した湿疹変化だとすると、湿疹を治すことでアトピー性皮膚炎自体も治せるということになります。
一所懸命取り組めば、だれにでも治せると考えられるのです。
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成人のアトピー性皮膚炎
この時期では、小児期からアトピー性皮膚炎をずっともち続けている方と、
小児期にはあったが思春期にはほとんど消退していたものが就職と同時に再発した方と、
小児期には皮膚はきれいだったが成人してから初めて発疹が出だしたという方の、3通りに分かれます。
第一の方は、多くが顔面は赤く、皮膚には深いしわがあり、全体的にははれぼったく、カサカサが付着して常に手で触わっていたり掻いていたりします。
目の下にはやはりしわが寄っていて、まゆ毛もうすくなっています。
また、首には黒い色素沈着が皮膚のしわにそってびまん性に認められることもあります。
それぞれの方に共通するのは、四肢の伸側や背中、おでこや手の甲の湿疹病変で、赤くなっていてかゆいと訴えられます。
就職などの精神的肉体的ストレスは症状の悪化を招くとともに、仕事が忙しいために、まめにスキンケアができなかったり皮膚科に適う時間がなくて、どうしても軟膏などの薬が不足がちになったりすることも、アトピー性皮膚炎のコントロールがうまくいかない要素になっています。
しかし、成人型のアトピー性皮膚炎の治療を最も困難にしているのは、年齢とともに病勢が軽減していくことが期待できない点かもしれません。
いいかえれば、現在のアトピー性皮膚炎の治療が、症状を抑えて患者さんのアレルゲンに対する反応性が変化していくのを待つという、消極的な方法をとらざるを得ないということです。
この時期のアトピー性皮膚炎の方は、多くが環境にあるアレルゲンに対して強い反応を示します。
ハウスダスト、すなわち家のほこりとそのなかに生息しているヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニが主なものですが、スギ花粉や犬や猫のふけに反応する方もいます。
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思春期、青年期のアトピー性皮膚炎
多くのアトピー性皮膚炎では、この時期に症状が軽快します。
しかし、ひじやひざの屈側にカサカサした発赤が残っていたり、スポーツをしたりして汗をかくと、そこがかゆくなったりします。
一方、重症のアトピー性皮膚炎では、お腹や背中、顔、首、手などにかゆみが残って象の皮膚のようになったり、
部分的に掻くくせがつくと、そこばかり掻くために、皮膚が盛り上がって結節性痺疹といわれる小豆から大豆大の皮膚の小結節が多数できます。
さらに悪循環でかゆみが強くなり始終掻いているために、その結節性痺疹の頂上にかさぶたがついていることもあります。
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アトピー性皮膚炎の正しい理解
アトピー性皮膚炎の治療で最も重要なことは、病気を理解することです。
この病気は体質的要素を含んでいて、今のところ、ある薬を飲めばたちどころに治り、その後、薬をやめても再発しないというような急性の病気とは性質を異にするということです。
症状を軽減するためには、毎日のスキンケアと軟膏を主体とする外用療法、抗アレルギー薬による内服療法を、体質が徐々に変化するか環境が変わるまで気長に行うことです。
適切なスキンケアを心がける
スキンケアで大切なことは、汗がついたままにしないことです。
また、石鹸などの刺激物が長時間皮膚に接触しないようにします。
入浴は毎日してもかまいませんが、石鹸で強くこするのは避けなくてはいけません。
石鹸はなるべく合成洗剤の入っていないもの(アトピコ石鹸など)を手にとって泡立て、からだには手ですり込みます。
このときの量は、からだの脂っぽい部分であれば泡立ちが悪くなる程度で十分です。
そしてやわらかい木綿のタオルでたくさんのお湯をかけながら石鹸をきちんと、しかしやさしくこすり落とします。
また、からだが暖まりすぎるとかゆみが出てきますので、お湯の温度もややぬるめにします。
夏には冷たいおしぼりなどで押さえるようにして汗をとります。
ここでもこすることは避けましょう。
毛糸や髪の毛が触わってチクチクするような状態があると、そこに皮疹が出てくることがありますので注意が必要です。
アトピー性皮膚炎があると、主婦の手湿疹がひどくなる傾向があるように思います。
洗剤は皮膚の自然の保湿成分を洗い落としますので、極力接触しないように木綿の手袋をしたうえにゴム手袋をして、手の保護をすることが大切です。
ほこりっぽい仕事をするときにも、忘れずに手袋をすることをおすすめします。
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アトピー性皮膚炎になりやすい子供の特徴
先天的に各種アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)に対して過敏に反応し、じんま疹や湿疹、ぜんそく発作、鼻みず、くしゃみ発作、目のかゆみなどが起こる素因をアトピー素因といいます。
このうちとくに湿疹を起こすものがアトピー性皮膚炎です。
治療としてはアトピー性皮膚炎はスキンケア、軟骨療法が主体となり、内服療法は補助的になります。
一方、じんま疹はは内服療法が中心となり、その内容はアトピー性皮膚炎の内服療法とほぼ同じです。
アトピー性皮膚炎になりやすい子供
どのような子どもがアトピー性皮膚炎になりやすく、さらに発症して悪化していくのかみていきましょう。
アトピー素因がある子ども
親兄弟にアトピー性皮膚炎、ぜんそく、アレルギー性鼻炎がある子ども(赤ちゃん)は、将来的にアトピー性皮膚炎になる可能性があります。
ストレスがかかっている子ども
赤ちゃんのうちから精神的なストレスは皮膚症状を悪化させますので、お母さんなどの暖かいスキンシップが大切です。
「うちの子はアトピーなのじゃないかしら?もしそうだったら、もう絶望!」
というような、お母さん白身の精神的不安定が、実は量も赤ちゃんのストレスになりうることを銘記すべきです。
掛くくせのついてしまった子ども
掻きこわしのくせはたしかに問題なのですが、それを脅迫的にやめさせる親の態度には、もっと注意する必要があります。
子どもが掻いていたらそっと手を握ってやったり、別のことに興味を移してあげたりするようにします。
もうどうにも止まらないぐらい掻いてしまったら、処置をしてから、4℃(冷蔵庫保存)のおしぼりタオルで湿布してあげます。
赤ちゃんのうちは柔らかい木綿でつくったミトンの手袋も掻きこわし予防にある程度有効ですが、縫い目が必ず外になるようにかぶせることが注意点です。
縫い糸がほつれてきて指にからまり、血行不良から指の切断につながることもあるのです。
自動車排気ガスをたくさん吸っている子ども
家の近くに交通量の多い道路があるとアレルギーの程度がひどくなるという考えがあります。
排気ガスと抗原を混ぜて吸入させると、鼻粘膜でアレルギーの反応が起こりやすくなるというものです。
たしかに、昔からスギの花粉は飛んでいたのに、なぜ今になってこんなに花粉症が騒がれだしたのか考えると、この意見も捨てられません。
またアトピー性皮膚炎でも、重症な方はより排気ガスの多いところに住んでいる傾向があるように思われます。
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アトピー性皮膚炎、年齢別の症状
乳児のアトピー性皮膚炎
乳児のアトピー性皮膚炎では、かゆみが強く、顔やからだの皮膚は赤く、はれぼったく、しばしば掻きこわしにより汁が出たり、びらんになります。
お腹の皮膚が鳥肌のように毛穴に一致して少しザラザラした感じがあり、
象の皮のようとも表現される変化をみることもありますが、幼児期に比べるとまだ顕著ではありません。
赤ちゃんはかゆがって不機嫌になります。
常に、または眠くなったり(眠くなるときには末梢の血管が開いて皮膚が暖かくなる)、風呂や布団や暖房でからだが暖まると、かゆがってひっかき傷を作ることがあります。
紙おむつのあたっているところはあまり発疹が強くないのも、この病気が掻きこわしによって悪化することを物語っています。
そのほか、おむつによって保湿されているからだという考えもあります。
一方、乳児脂漏性皮膚炎はあまりかゆくなく、頭の皮膚には脂肪を多く含んだガサガサやゴワゴワがついてきます。
幼児、学童期のアトピー性皮膚炎
ひじやひざの屈側などがガサガサしたり、滲出液が出る皮疹が続くことが多いのですが、軽症例ではそのほかの部位はほとんど治ってしまいます。
またアトピー性皮膚炎の子どもは砂遊びや粘土遊びなどで手を使うことが多くなると、手がガサガサしたり赤くなったりする傾向があります。
また、以前はズック靴皮膚炎と呼ばれていた足の裏のかさつきもみられます。
耳たぶの下の付け根が赤くなり、切れて滲出液が出る「耳切れ」も、この時期にしばしばみられます。
このころの血清中のアレルゲン特異的1gEは、多くの患者さんでハウスダスト(家のほこり)とそのなかに住むヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニに対するものになっています。
このダニは人を刺したりしません。
ヒトのあか垢やふけを食べているとされ、これらの虫体や排泄物にアレルギーを起こすもとがあるとされています。
学童期のアトピー性皮膚炎の多くは、小学校を卒業する頃には軽快していきます。
なぜよくなるのかはわかりませんが、ひとつにはアレルゲンに対する慣れの現象が起こるのかもしれません。
一方、幼児期のアトピー性皮膚炎で食物アレルゲンが関与していると思われる症例もあります。
食べ物とかゆみのひどさは注意深く観察する必要があります。
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アトピー(アレルギー)体質とは遺伝する?
アレルギーになりやすい体質をアトピー体質といいますが、「アトピー」という言葉は、もともとギリシャ語で「奇妙な」という意味をもちます。
20世紀の初めに、アメリカのコカとクックが気管支ぜんそく、花粉症、じんま疹などのアレルギー疾患は合併しやすく、また遺伝的傾向をもつこと、
患者の大多数が通常では無害な物質に対して過敏反応を起こすことに注目して、こうした状態に対して名づけた言葉です。
その後、これら一群の病気が、1gE抗体によるI型アレルギーによって起こることがわかり、現在ではアトピーという言葉はIgE抗体を作りやすい体質を指すようになりました。
また、I型アレルギーによって起こる病気をアトピー性疾患ともいいます。
アトピー素因をもつ人の家族には、アトピー性疾患をもつ人が多くみられることから、「アトピー家系」と呼ばれます。
なお、遺伝するのはIgE抗体を作りやすい体質そのものであって、ぜんそくとかアトピー性皮膚炎といった病気そのものが遺伝するわけではありません。
したがって、親がぜんそくでも子どもはアトピー性皮膚炎しかみられないというように、病気として現れるものは別な場合が少なくありません。
それではなぜ、同じアトピー体質をもちながら、人によって現れる症状や病気が異なるのでしょうか。
それはぜんそくであれば気道の過敏性、アレルギー性鼻炎であれば鼻粘膜の過敏性といったように、臓器の過敏性がそれぞれのアレルギーの病気をもたらす一方の大きな要因となっているからです。
そしてこの臓器の過敏性については後天的な要因が大きく関与します。
遺伝に関してこれまでの報告をまとめてみますと、
親にアレルギーがない子どものアレルギー有症率は13〜14%、
片親にアレルギーがある場合は20〜38%、
両親にアレルギーがある場合は40〜58%という結果になります。
おおまかにいって、親にアレルギーがあり2〜3人の子どもがいれば、そのうち一人以上にアレルギーが出るという結果が出ています。
また、片親のみがアレルギーの場合は、父親よりも母親の影響のほうがはるかに強いことがわかっています。
母親の影響のほうがはるかに強いと考えられるのは、胎児の段階ですでに体内感作があり、母体を通じて侵入したアレルゲンに対して1gE抗体を作ってしまうからかもしれません。
実際に統計をとると、母親のIgE抗体値が高い場合は、アトピー性皮膚炎やぜんそくがより低年齢で、しかも高い割合で発症しています。
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