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皮膚科学会 治療のガイドラインについて
2000年5月、日本皮膚科学会は「アトピー性皮膚炎・治療ガイドライン」を公表しました。
このガイドラインは、日本皮膚科学会が示したアトピー性皮膚炎の基本治療方針で、10項目から構成されています。
民間療法も含め、実にいろいろな療法が広範に見られるなか、日本皮膚科学会として適切な治療の目安を示したものです。
当サイトでは、各項目のなかでも、とくに患者さんにかかわる部分を抜粋してご紹介します。
多少難しい表現があるかもしれませんが、治療の基本骨子となることですので、極力ガイドラインに沿った記述にとどめてあります。
ぜひご寛容いただきたく思います。
1 はじめに
アトピー性皮膚炎の病態を慢性の経過をとる湿疹としてとらえ、その炎症に対してはステロイド外用療法を主とする。
生理学的機能異常に対しては、保湿剤外用などを含むスキンケアを行い、かゆみに対して抗ヒスタミン割、抗アレルギー割を補助療法として併用し、悪化因子を可能な限り除去することを治療の基本とする。
2 病態
アトピー性皮膚炎は、かゆみをともなう皮膚に慢性的に経過する炎症をその病態とする湿疹・皮膚炎群の病気である。
慢性に経過するも、適切な治療によって症状がコントロールされた状態に維持されると、自然寛解(※1)も期待される。
※1 自然寛解 病気の症状が軽減またはほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態。治癒とは異なる。
2 診断
日本医学学会の診断基準
4 重症度
治療の主体である外用(塗り薬)療法の選択は「個々の皮疹の重症度」によってなされるもので、皮疹の重症度と皮疹の広がりから評価される「病気としての重症度」により決定されるものではない。
すなわち、範囲が狭くてもひどい湿疹には重症であるとして強い塗り薬が選択されるが、範囲が広くても軽度の湿疹の場合には強い塗り薬は必要としない。
5 治療の目標
治療の目標とは患者を次のような状態にもっていくことにある。
(1)症状はない、あっても軽微であり、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない。
(2)軽微または軽度の症状は持続するも、急性に悪化することはまれで、悪化しても蔓延することはない。
6 薬物療法
アトピー性皮膚炎を完治させる薬物療法はない。
したがって対症療法を行うことが原則となる。
(1)アトピー性皮膚炎の炎症を速やかにかつ確実に鎮静でき、患者の苦痛を取り除ける薬剤で広く使用でき、その有効性と安全性が科学的に評価されているものは現在のところステロイド外用剤の他になく、いかにそれを選択し、使用するかが治療の基本となる。
その他の外用剤では非ステロイド系消炎剤外用剤があるが、抗炎症作用は極めて弱く、接触皮膚炎を生じることがまれではないため、その適応範囲は狭い。
最近使用が開始された外用剤として移植免疫抑制剤タクロりムスがある(現在、成人のアトピー性皮膚炎のみを対象)。
(2)ステロイド外用剤によって炎症が鎮静したあとも、乾燥およびバリアー機能の低下を補完し、炎症の再燃を予防するためにステロイドを含まない外用剤でスキンケアを行う必要がある。
これを怠ると、炎症が容易に再燃し、ステロイド外用療法の意義の低下につながる。
(3)アトピー性皮膚炎の自覚症状としてかゆみをともなうのが特徴である。
その苦痛の軽減と、かいたりひっかくなどして湿疹を悪化させることを予防するために抗ヒスタミン作用のある薬剤を使用する。
7 悪化因子の検索
患者と医師の問で信頼関係ができ、6で説明した薬物療法が十分に行われれば、ほとんどの例では治療の目標を達成できる。
達成できない例では悪化因子の検索が必要となるが、年齢層により関与が疑われる因子に若干の遣いがある。
8 心身医学的側面
成人の重症例では、人間関係、多忙、進路著藤、自立不安などのアトピー性皮膚炎以外の心理社会的ストレスが関与し、噌癖的あるいは依存的ともいえる掻破行動が生じ、皮疹を悪化させている例も少なくない。
小児の例でも、愛情の欲求不満から同様の掻破行動が見られることがある。
このような場合には心身両面からの治療が必要であり、精神科医を含めたチーム医療が必要になることもある。
9 生活指導
・入浴、シャワーにより皮膚を清潔に保つ
・室内を清潔に保ち、適温・適湿の環境をつくる
・規則正しい生活を送り、暴飲・暴食は避ける
・刺激の少ない衣服を着用する
・爪は短く切り、掻破による皮膚障害を避ける
・ステロイド外用剤の使用によるためではなく、目のまわりの皮疹をひっかいたり、たたいたりすることで眼病変(白内障、網膜裂孔、網膜剥離)が生じることに留意する。
顔面の症状がひどいケースでは眼科医の診察を定期的に受ける。
・細菌・真菌・ウイルス性皮膚感染症を生じやすいので、皮膚をよい状態に保つようにする。
10 その他の治療法
その他の特殊な治療法については、一部の施設でその有効性が強調されているだけで、科学的に有効性が証明されていないものが多く、基本的治療法を示す本ガイドラインには取り上げない。
第2選択治療(専門医の判断)
薬物治療は、炎症やかゆみ、乾燥など皮膚の症状に応じて、第1選択治療として、ステロイド外用薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、保湿薬(または保湿作用のあるスキンケア製品など)が使い分けられる。
それでも改善しない場合は、第2選択治療が行われる。
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