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適切な治療を始めるには、適切な診断が必要です
アトピー性皮膚炎は、このような病気です
アトピー性皮膚炎とは、皮膚にかゆみを伴う湿疹などの症状が現れ、よくなったり、悪くなったりを繰り返し、慢性化しやすい病気です。
また、患者さんのほとんどが「アトピー素因」と呼ばれる体質をもっています。
アトピー素因をもっているかどうかは、家族歴や既往歴、またはIgE(免疫グロブリンE)を産生しやすいかでわかります。
両親や家族、本人がアレルギー疾患にかかったことがあるかどうかということが家族歴、既往歴で、気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎のうち、どれか一つまたは複数の疾患にかかったことがあれば素因があることになります。
アトピー性皮膚炎という病名は、このような特徴からつけられましたが、実は、アトピー素因をもっていない人でもこの病気になることがしばしばあります。
ですから、診断の際にはアトピー素因を手がかりにしますが、治療を進めるうえでは、あくまでも皮膚症状の改善に注目します。
また、アトピー性皮膚炎の多くは、乳幼児期に発症します。
生まれて間もない赤ちゃんはなりにくく、乳児のほとんどは生後2〜3ヶ月あたりからポッポッと湿疹の症状が出てきます。
患者さんの8割は5歳までに発症しますが、最近では20代や30代になって発症したり、悪化したりするケースも増えています。
アトピー性皮膚炎と思われる患者さんを診断する際にチェックする皮膚の症状については、日本皮膚科学会が「アトピー性皮膚炎の定義・診断基準」としてまとめています。
患者さんを診察して治療方針を決めるとき、多くの臨床医が指針とする「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2005」(厚生労働科学研究社)でもこの診断基準を使用しています。
そのなかのおもをポイントをあげてみましょう。
(1)かゆみがある
(2)特徴的な皮疹とできやすい部位
・赤い発疹(紅斑)、ジクジクした赤い発疹(湿潤性紅斑)、かさぶた(痴皮)、皮膚の表面がゴワゴワと硬くなる(苔癖化)、皮膚が細かくはがれた状態(鱗屑)など。
・額、目や口のまわり、唇、耳のまわり、首、手足の関節、胴体などにできやすく、体の左右の同じような場所にみられる。
(3)経過
・症状が繰り返しおこる。
・乳児では2ヶ月以上、そのほかの年齢では6ヶ月以上症状が続いている。
診断基準のうち、(1)、(2)および(3)があてはまれば、軽症や重症を問わずアトピー性皮膚炎と診断されます。
また、家族のなかにアトピー性皮膚炎や気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎を患った人がいる場合や、本人がアトピー性皮膚炎以外のこれらの病気になっているときは、診断基準の(3)で決められた経過期間より早期に診断されることがあります。
痒みの程度は、点数にします
診察では、診断基準に沿って「かゆみ」「皮膚の状態」「発症してからの経過」の3つのポイントを診ます。
かゆみの程度や発症してからの経過、繰り返し症状がおこるかどうかについては、問診や質問票で確かめます。
症状について自分で説明ができない乳幼児の場合は、つき添いの両親や保護者などから話を開きます。
かゆみは、本人以外にはわかりにくい症状です。
そこで、よく用いられる方法として「VAS(ビジュアル・アナログ・スケール)」があります。
紙に長さ10cmの横線が引いてあって、目盛りが刻まれています。
左端の0は「まったくかゆみがない」、右端の10(または100)は「もっともひどいかゆみ」を表します。
これで今のかゆみの程度がどれくらいなのか、点数をつけてもらうわけです。
VASによってかゆみの程度を数字にすることで、他人にはなかなかわかってもらえない、かゆみという自覚症状を客観的にとらえることができます。
皮膚の状態については、目や鼻、口のまわり、ひじなどの関節の裏側、首など症状が出やすい部位に皮疹(皮膚に生じた変化。発疹ともいう)があるか、体の左右対称の同じような場所に出ているか、全身の皮膚が乾燥しているかなどを診ます。
目で見るだけでなく、実際に触って診察します。
また、かゆみや皮疹があっても、体の片側だけや一部分だけにみられる場合は、かぶれなどほかの病気にって症状がおこっていると考えられます。
アトピー性皮膚炎と除外すべき病気
・手湿疹(アトピー性皮膚炎以外の手湿疹) ・皮膚リンパ腫 ・乾癖 ・免疫不全による疾患 ・膠原病(SLE、皮膚筋炎) ・ネザートン症候群 ・接触性皮膚炎(かぶれ) ・脂漏性皮膚炎 ・単純性痺疹 ・疹癖 ・汗疹(あせも) ・魚鱗癖 ・皮脂欠乏性湿疹
日本皮膚科学会が作成したアトピー性皮膚炎の診断基準では、これらの病気について十分な鑑別診断が必要としています。
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