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大人のアトピー性皮膚炎の治療の進め方
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2歳未満のアトピー性皮膚炎の治療の進め方
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アトピー性皮膚炎の方が気をつけてほしいこと
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アレルギー疾患を合併しやすいことに注意
アトピー性皮膚炎は、そのほかのアレルギー疾患を合併しやすいことがわかっています。
医師の調査で合併しているアレルギー疾患の割合を調べたところ、もっとも多かったのは気管支ぜんそくで40.0%。
次いでアレルギー性鼻炎が36.8%と高い割合を占めました。
また、乳幼児では、食物アレルギーを合併しているケースがたいへん多く見受けられます。
そのため、親は「うちの子のアトピー性皮膚炎は、食べ物がアレルゲンとなっている」と誤解し、食べ物を制限することで、アトピー性皮膚炎を治そうとしがちです。
しかし、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎は違う病気です。
食べ物の制限はアトピー性皮膚炎の症状の改善には、あまり効果はありません。
食物アレルギーによっておこる、かゆみや湿疹などの皮膚症状は、原因となる食べ物を制限することで治ります。
合併している場合、治療はそれぞれ個別に、食物アレルギーは「食物アレルギーの治療とアレルゲンとなる食べ物の除去」、アトピー性皮膚炎では「スキンケアと外用薬による治療、場合によっては悪化させる因子の除去」を行う必要があります。
アトピー素因があるからといって必ず発症するわけではありません
アトピー性皮膚炎で医療機関を受診すると、たいてい最初に家族歴を聞かれます。
アトピー素因は、親から子どもに受け継がれるので、その参考にするためです。
遺伝子については、2006年に欧米で「アトピー性皮膚炎患者の多くにバリア機能障害をおこす遺伝子変異がある」という発表がされています。
とはいえ、アトピー素因をもっていても必ずアトピー性皮膚炎になるわけではありません。
アトピー素因はなりやすさを示すものではありますが、受け継いでいても、環境やそのときの皮膚の状態など、さまざまな要因がかかわって発症するのです。
また、子どものアトピー性皮膚炎を予防するために、卵や乳製品を避ける妊婦さんもいます。
しかし、こうした食事制限が予防に役立つという証拠がないため、現在では妊婦の食事制限は行わないことになっています。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
アトピー入院治療
通院では治療がむずかしい次のようなケースでは、入院することがあります。
- ・重症化しているとき
- ・紫外線療法を行うとき
- ・感染症を合併したとき
- ・アトピー性皮膚炎という病気や治療について学ぶ教育入院
重症化した患者さんのなかには、外にほとんど出ず、なかには昼夜逆転の引きこもりのような生活を送っている人もいます。
そのような場合、入院してもらうことがあります。
入院しているほかの患者さんとの会話や、規則正しい生活を送ることで、ストレスが軽くなり、治療効果が上がることがあります。
また、アトピー性皮膚炎で炎症がおこると、患部が細菌などに感染しやすくなります。
皮膚の感染症を合併すると高熱が出たり、リンパ腺が腫れたりするため、一時的に入院してもらって、抗菌薬や抗ウイルス薬の投与などで感染症を治療します。
教育入院は、アトピー性皮膚炎とはどんな病気なのかを学んだり、ステロイド外用薬の塗り方や正しい治療法を覚えてもらったりするためのものです。
これは一部の医療機関で実施されています。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
アトピー紫外線療法
紫外線療法には免疫や炎症を抑える効果があります
ステロイド外用薬が効きにくい最重症や重症の患者さんには、太陽光線にふくまれる紫外線を照射する紫外線療法が行われることがあります。
長い時間、日光に当たると皮膚が赤くなったり、日焼けをして真っ黒になったりします。
ひどいときには水ぶくれができます。
その一方で、紫外線には免疫を抑制したり、炎症を抑えたり、細菌感染を抑制したりする作用もあります。
紫外線のこのような作用をうまく利用し、治療に応用したのが紫外線療法です。
波長の長さによって2種類の治療法がある
紫外線には、波長が長いA波と短いB波があります。
紫外線療法のうち、おもに行われているのが、A波を用いるPUVA療法と、B波のなかでも治療効果の高い特殊な波長(311〜312nm)を照射するナローバンドUVB療法です。
PUVA療法では、ソラレンという液体の入ったお風呂に浸かって紫外線を吸収する成分を体に染みこませたり、体に直接塗ったりしたあと、日焼けマシンのような専用の紫外線照射装置に入り、紫外線を浴びます。
最初の照射時間は短く、10秒、20秒としだいに長くしていきます。
これを1日おきに3〜4週間繰り返します。
ナローバンドUVB療法は、照射前の準備がいらず、PUVA療法より簡単にできる治療法です。
照射は30秒くらいから始めて1〜5分程度まで20%ずつ増やしていき、3週間毎日続けます。
ナローバンドUVB療法より前に開発されたブロードバンドUVB療法(B波の290〜320nmを照射する)も効果があり、一般診療ではしばしば使用します。
紫外線療法は、最初は入院して行い、途中から通院で続けるのが一般的です。
PUVA療法は重症のアトピー性皮膚炎に対して効果があり、ナローバンドUVB療法は、中等症から重症のアトピー性皮膚炎に対して効果が認められています。
しかし、紫外線療法は、紫外線を用いるだけに皮膚がんの発症のリスクが高くなるという問題が指摘されており、紫外線療法を行うときは、治療回数が限られています。
また、タクロリムス外用薬を使用しているときは治療はできません。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
2歳から12歳未満のアトピー性皮膚炎の治療の進め方
2歳〜12歳未満の治療でも、基本となる治療は保湿外用薬によるスキンケアです。
皮膚をしっかりと保湿したうえでステロイド外用薬を使用します。
また、患者さんによっては抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の服用、部位や回復の状態によってはタクロリムス外用薬を用いて治療を進めていきます。
アトピー性皮膚炎は、最重症・重症と診断されても、適切な治療を続けることで回復します。
あせらずに、前向きな気持ちで治療に取り組んでいきましょう。
アトピー性皮膚炎かどうか診察します
まずは、問診と触診による診察を行います。
問診では、「かゆみ」「皮膚の状態」「発症してからの経過」などを聞きますが、患者さん本人が症状についてうまく説明できないときは、つき添いの両親や保護者などから話を聞きます。
診察では、かゆみの程度を数字で示すVASや質問票を用いることがあります。
また、くわしく診察するために血液検査でIgEや好酸球の量を調べることもあります。
保湿外用薬やステロイド外用薬などで治療します
アトピー性皮膚炎と診断されたら、保湿外用薬を少なくとも1日2回、できるだけ体全体に塗ります。
最初に保湿外用薬によるスキンケアをしっかりと行って、低下した皮膚のバリア機能・生理機能を補っていきます。
軽症の場合、治療は保湿外用薬によるスキンケアが中心になります。
中等症ではストロングクラス以下のステロイド外用薬を使用します。
最重症・重症は、ベリーストロングクラス以下のステロイド外用薬を塗ります。
ただし、どちらの重症度でも、顔や首など薬の吸収率が高い部位には、ミディアム(マイルド)クラス以下を使います。
ステロイド外用薬を塗り始めると、3〜4日でかゆみや赤みがおさまってきます。
この状態になったら、指でつまんで硬くなっているところだけに塗るようにします。
皮膚が硬くゴワゴワした部位には、まだかゆみ物質が残っています。
薬を途中でやめるとぶり返すため、忘れずに塗りましょう。
治療開始 ステロイド外用薬の目安
【中等症】スtロングクラス以下 1日1〜2回、適量塗布
【最重症・重症】ベリーストロングクラス以下 1日1〜2回、適量塗布
顔や首などは、ミディアム(マイルド)クラス以下 1日1〜2回、適量塗布
また、かゆみや炎症が強いときは、補助療法として抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を使用します。
薬は決められた量を飲みます。
幼小児では使用できる薬が限られ、内服量や使用方法もそれぞれ異なるため、医師の指示にしたがいましょう。
治療で良くなってきた場合
治療を続けていくと、3週間ぐらいで硬くなっていた患部もやわらかくなります。
皮膚が健康な状態に戻ったら次のステップに進みます。
軽症では、スキンケアを続けます。
中等症では、ストロングクラス以下から一段階弱いミディアム(マイルド)クラスのステロイド外用薬に変更します。
または、クラスを変更しないで塗る回数を減らす方法もあります。
これでよい状態が続けば、もう一つ弱いウィーククラスに変えます。
その後は、皮膚の状態をみて少しずつ塗る回数を減らします。
最重症・重症は、ベリーストロングクラスより弱いストロングクラスに変更します。
そのあと回復状態がよい場合は、ミディアム(マイルド)クラス、ウィーククラスと徐々に作用の弱いステロイド外用薬に変えます。
ウィーククラスで症状が安定したら、次第に塗る回数を減らします。
回復期 ステロイド外用薬の変更の目安
【中等症】ミディアム(マイルド)クラス以下に変更 1日〜2回、適量塗布
【最重症・重症】ストロングクラス以下に変更 1日1〜2回、適量塗布
また、顔や首など薬の吸収率の高い部位には、長期間にわたってステロイド外用薬を使うことはむずかしいため、中等症や最重症・重症の場合、副作用の心配のないタクロリムス外用薬(商品名プロトピック軟膏)を使うこともあります。
タクロリムス外用薬の使用量の目安
・プロトピック軟膏(小児用0.03%軟膏)
顔や首などに1日2回、1回の塗布量は2〜5歳(体重20kg未満)は1g、6〜12歳(体重20kg以上50kg未満)は2〜4gまで
さらに、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は飲む回数をゆっくりと減らすか、症状が出たときだけ服用するようにします。
また、保湿外用薬によるスキンケアは続けていきます。
症状が変わらない、または悪化した場合
スキンケアは継続します。
診察してあらためてステロイド外用薬を塗る量や回数をチェックします。
小児のうちでも、とくに10歳以降の数年はスキンケアの管理と継続がむずかしい年ごろといえます。
自立心が育ち始める一方で、親への依存心もあるため、本人に全面的に任せてしまうと親の世話をうとましいと思いながらも、不満や不安を感じるようです。
まだ完全な自己管理は無理ですが、できるだけ本人が使いやすい保湿外用薬を選ぶなど、手際よくすむ工夫をしてあげて、根気よく励ましながらスキンケアを続けましょう。
軽症の小児の場合、かゆみが現れたらミディアム(マイルド)クラス以下のステロイド外用薬を一時的に塗ります。
その効果をみて、一つ上のストロングクラスのステロイド外用薬を塗ることもあります。
それでもかゆみが強いときは、補助療法として抗ヒスタミンや抗アレルギー薬を服用します。
中等症で症状が変わらない場合は、ストロングクラスの別の種類のステロイド外用薬を用いて様子をみます。
悪化したときは、とくに症状がひどい部位だけ、一時的に一つ上のベリーストロングクラスのステロイド外用薬を用います。
最重症・重症で症状が変わらないときは、ベリーストロングクラスの別のステロイド外用薬に変更します。
また、悪化したときは、症状のひどい部位だけに、さらに強いストロンゲストクラスのステロイド外用薬を一時的に塗ります。
中等症や最重症・重症でステロイド外用薬で症状が軽快し、皮膚にタクロリムス外用薬を塗ることが可能であれば、顔や首だけでなく胴体や手足にも試してもらいます。
ステロイド外用薬は症状のひどいところのみに塗ってもらいます。
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の服用は続けます。
悪化した場合 ステロイド外用薬<の目安
【軽症】ミディアム(マイルド)クラス以下 一時的に1日〜2回、適量塗布
【中等症】ベリーストロングクラスい変更 一時的に1日1〜2回、適量塗布
【最重症・重症】ストロンゲストクラスに変更 症状の弱い部位に一時的に1日〜2回、適量塗布
治療の終了または継続・症状の安定
治療が順調に進むとかゆみや皮疹が出なくなり、保湿外用薬やタクロリムス外用薬だけで過ごせるようになります。
これが治療のゴールです。
2歳〜12歳未満の患者さんでは、転校や受験、学校での人間関係などがおもなストレスになります。
アトピー性皮膚炎は、このようなストレスや環境の変化によって再発することがめずらしくありません。
症状が安定したあとは、軽症や中等症だった患者さんは、ミディアム(マイルド)クラスやウィーククラス、最重症・重症では、ストロングクラス以下のステロイド外用薬を常備し、症状が現れたら早めに塗って対応します。
また、かゆみや炎症などが強く、再発した場合は、医療機関で適切な診察を受ける必要があります。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
大人のアトピー性皮膚炎の治療の進め方
一般に大人のアトピー性皮膚炎は治りにくいといわれますが、医師の指導のもと、正しい治療を続けることで着実に回復に向かいます。
まずはスキンケアを続けて全身を十分に保湿し、皮膚の乾燥を防ぎましょう。
そのうえでステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を使用します。
外用薬だけでは症状が抑えきれない場合は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を併用します。
また、最重症・重症の患者さんでは、これらの治療だけでは改善しない場合があります。
このようなケースでは、紫外線療法を行ったり、免疫抑制薬やステロイド薬を服用したりするなどの治療法を試みて、回復を図ります。
アトピー性皮膚炎かどうかを診察します
問診と触診による診察を行います。
問診では患者さん本人に「かゆみ」「皮膚の状態」「発症してからの経過」のほかに家族歴や既往歴なども聞きます。
かゆみの程度を数字で示すVASや質問票を渡して、記入してもらうこともあります。
また、くわしく診察するために血液検査を行って、IgEや好酸球の量を調べることもあります。
保湿外用薬やステロイド外用薬などで治療します
アトピー性皮膚炎と診断がついたら、保湿外用薬を1日2回、できるだけ体全体に塗ります。
最初に保湿外用薬をしっかり塗ることで、低下した皮膚のバリア機能・生理機能を補います。
軽症の場合、治療は保湿外用薬によるスキンケアが中心になります。
13歳以上になると、皮膚が厚くなり、薬の効き目成分が浸透しにくくなることから、軽症ではベリーストロングクラス以下のステロイド外用薬を使用します。
ただし、薬の吸収率の高い顔や首には、ミディアム(マイルド)クラス以下を用います。
ステロイド外用薬を塗り始めると、かゆみや赤みなどの症状は3〜4日でおさまってきます。
そのあとは硬くなっているところだけに塗るようにします。
硬くなった皮膚には、かゆみをおこす物質がまだ残っているため、薬を中止するとぶり返します。
ステロイド外用薬は途中でやめずに続けて塗るようにしましょう。
治療開始 ステロイド外用薬<の目安
【中等症、最重症、重症】ベリーストロングクラス以下 1日1〜2回、適量塗布
顔や首などは、ミディアム(マイルド)クラス以下 1日〜2回、適量塗布
【最重症・重症】ストロンゲストクラスに変更 症状の弱い部位に一時的に1日〜2回、適量塗布
かゆみや炎症が強い血思者さんには、ステロイド外用薬のほかに補助療法として抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を処方します。
薬は決められた量を服用します。
ただし、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は、妊娠中や授乳中の女性は使えません。
治療で良くなってきた場合
治療が順調に進むと硬くなっていた皮膚も3週間ぐらいでやわらかくなり、健康な状態になります。
ここまできたら次のステップです。
保湿外用薬によるスキンケアはそのまま続けて、中等症、最重症、重症ではステロイド外用薬を塗る回数を減らします。
または、ステロイド外用薬を一つ弱いストロングクラスに変更することもあります。
回復期 ステロイド外用薬の変更の目安
【中等症・最重症・重症】ストロングクラスに変更 1日〜2回、適量塗布
顔や首など薬の吸収率が高い部位には、ステロイド外用薬は長く使えないため、タクロリムス外用薬(商品名プロトピック軟膏)に切りかえ、胴体や手足にも試してもらいます。
ただし、タクロリムス外用薬は、妊娠中や授乳中の女性は使用することができません。
治療中に妊娠や出産を希望する場合は、医師に相談しましょう。
タクロリムス外用薬の使用量の目安
・プロトピック軟膏(小児用0.03%軟膏)13歳〜15歳(体重50kg以上)1日2回、1回の塗布量は5gまで
・プロトピック軟膏(大人用0.1%軟膏)16歳以上 1日2回、1回の塗布量は5gまで
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は、飲む回数をゆっくりと減らすか、症状が出たときだけ服用するようにします。
症状が変わらない、または悪化した場合
スキンケアは継続します。
診察してあらためてステロイド外用薬を塗る量や回数をチェックします。
軽症の場合、かゆみや皮疹が現れたらストロングクラス以下のステロイド外用プロトピック軟膏薬を塗ることもあります。
かゆみが強いときは、補助療法として抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を服用します。
中等症、最重症、重症では、ベリーストロングクラスの別の種類のステロイド外用薬に変更して様子をみます。
悪化したときは、症状がとくにひどい部位だけに薬の作用が一段階強いストロンゲストクラスを一時的に使います。
また、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の服用は、そのまま続けます。
症状がよくなり、皮膚にタクロリムス外用薬を塗ることが可能であれば、顔や首のほかに胴体や手足にも試してもらいます(ただし、妊娠中や授乳中の女性は使用できません)。
ステロイド外用薬は、症状のひどいところのみに塗ります。
悪化した場合 ステロイド外用薬の目安
【軽症】ストロングクラス以下 1日1〜2回、適量塗布
【中等症、最重症、重症】ストロンゲストクラスに変更 症状の弱い部位に一時的に1日〜2回、適量塗布
なお、最重症・重症でこれらの治療をしても改善しないときは、紫外線療法や、免疫抑制薬、飲み薬のステロイド薬を用いた治療を試みます。
入院して治療する場合もあります。
なかなか改善しない場合 免疫抑制薬とステロイド薬の服用量の目安
【免疫抑制役】
・シクロスポリン(商品名ネオーラル) 1日2回 1日に体重1kg当たり3mgから開始
【ステロイド薬】
・プレドニゾロン(商品名プレドニン、プレドニゾロン) 1日に5〜15mgから開始
・ベタメタゾン(商品名リンデロン) 1日に0.5〜1.5mgから開始
治療の終了または継続・症状の安定
かゆみや皮疹が出なくなり、保湿外用薬やタクロリムス外用薬を塗るのみで日常生活に支障がない状態まで回復したら治療のゴールです。
13歳以上では、思春期や大人の患者さんが中心になりますが、この年代はストレスが多岐にわたり、ささいなことが要因となって再発することもあります。
そのため、軽症だった患者さんではストロングクラス以下、中等症や最重症・重症では、ベリーストロングクラス以下のステロイド外用薬を常備し、必要に応じてすぐに使用できるようにしておくと安心です。
また、完全にぶり返した場合は、早めに医療機関で診察を受けましょう。
タクロリムス外用薬の使用上の注意
目の周囲に塗るときは、目に入らないように気をつけましょう
・塗る患部が広い場合は、2〜4週間に一度、検査を行います。
血中濃度が上昇し、異常が認められる場合は、中止します。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
2歳未満のアトピー性皮膚炎の治療の進め方
アトピー性皮膚炎の治療の基本は、保湿外用薬を使用したスキンケアです。
とくに2歳未満では、保湿ケアだけで状態がよくなることが少なくありません。
軽症では、かゆみを伴う皮疹が出たときだけステロイド外用薬を塗ったり、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を服用したりします。
アトピー性皮膚炎は、最初の診断で重症度が判定されても、よくなったり、悪くなったりを繰り返しやすいのが特徴です。
治療中は日常生活にも気をつけて、できるだけ軽症の状態を維持して悪化させないようにしましょう。
また、乳幼児の場合、ステロイド外用薬の副作用について不安をもつ両親が少なくありませんが、医師の指導にしたがって、適切な量を正しい治療期間使っている限り、重い副作用をおこすことはありません。
アトピー性皮膚炎かどうか診察します
問診と触診による診察を行います。
問診では「かゆみ」「皮膚の状態」「発症してからの経過」などを質問しますが、2歳未満の患者さんは症状について説明することができないため、つき添いの両親や保護者などから話を聞きます。
また、かゆみの程度を数字で示す表に記入してもらったり、質問票を用いたりすることもあります。
さらに、血液検査でIgEや好酸球の量を調べることもあります。
保湿外用薬やステロイド外用薬などで治療します
アトピー性皮膚炎と診断されたら、まずは保湿外用薬を1日1〜2回、できるだけ体全体にしっかり塗って皮膚のバリア機能・生理機能を補います。
軽症の場合、治療は保湿外用薬によるスキンケアが中心になります。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能・生理機能の低下によるドライスキンが原因の一つです。
もともと生まれもった体質なので根本的に治すことはできませんが、保湿外用薬を使って皮膚の角層(角質層)の乾燥を防ぐことで、バリア機能・生理機能を補っていきます。
2歳未満では、大部分がこれだけで寛解の状態にもって いくことができます。
ステロイド外用薬を用いる必要がある場合、中等症は、ミディアム(マイルド)クラス以下、最重症・重症では、ストロングクラス以下を使用します。
ただし、顔や首など薬の効き目成分の吸収率が高い部位には、年齢・重症度を問わずミディアム(マイルド)クラス以下を使います。
使用回数は、症状が強いうちは1日2回、軽快したら1日1回とします。
患部に塗り始めると、3〜4日でかゆみや赤みがおさまってきます。
そうしたら、皮膚をつまんで硬くなっているところだけに塗るようにします。
硬い皮膚(苔癬化)には、まだかゆみをおこす物質が残っています。
このような状態でステロイド外用薬をやめると皮疹やかゆみがぶり返します。
症状がなくなっても、続けて塗るようにしましょう。
治療開始 ステロイド外用薬の目安
【中等症】ミディアム(マイルド)クラス以下 1日1〜2回、適量塗布
【最重症・重症】ストロングクラス以下 1日1〜2回、適量塗布
顔や首などは、ミディアム(マイルド)クラス以下 1日1〜2回、適量塗布
また、強いかゆみや炎症がある場合は、補助療法として抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を併用しますが、幼小児では使用できる薬が限られています。
内服量や使用方法はそれぞれ薬によって異なるため、医師の指示にしたがいましょう。
治療でよくなってきた場合
順調に経過すると硬かった患部もやわらかくなり、健康な皮膚に戻ります。
そうしたら次のステップに進みます。
軽症では、スキンケアを続けます。
中等症では、ミディアム(マイルド)クラスから一つ弱いウィーククラスのステロイド外用薬に変更します。
しばらく使って、よい状態が維持できるようになったら塗る回数を減らします。
最重症・重症では、一段階弱いミディアム(マイルド)クラスに変更します。
その後、症状の改善に応じて、ウィーククラスに変えます。
ウィーククラスになって皮膚の状態が安定したら、しだいに塗る回数を減らします。
また、ステロイド外用薬のクラスは下げず、塗る回数を減らすこともあります。
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は、飲む回数をゆっくりと減らしたり、症状が出たときだけ服用したりします。
また、よくなってきても保湿外用薬によるスキンケアは毎日続けます。
回復期 ステロイド外用薬の変更の目安
【中等症】ウィーククラスに変更 1日1〜2回、適量塗布
【最重症・重症】ミディアム(マイルド)クラスに変更 1日1〜2回、適量塗布
症状が変わらない、または悪化した場合
スキンケアは継続します。
診察してあらためてステロイド外用薬を塗る量や回数をチェックします。
軽症の場合、かゆみが現れたらミディアム(マイルド)クラス以下のステロイド外用薬を一時的に塗ります。
また、治療の効果をみて一つ上のストロングクラスのステロイド外用薬を塗ることもあります。
かゆみが強いときは、補助療法として抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を服用します。
中等症で症状が変わらない場合は、ステロイド外用薬の量や塗る回数を増やします。
または、ステロイド外用薬をミディアム(マイルド)クラスの別の薬に変更します。
悪化したときは、かゆみや炎症がひどい部位だけに一時的に一つ上のストロングクラスのステロイド外用薬を塗ります。
最重症・重症では、ストロングクラスの別のステロイド外用薬に変更して様子をみます。
悪化したときは、とくにひどい部分だけ、一時的に一つ上のベリーストロングクラスのステロイド外用薬を塗ります。
悪化した場合 ステロイド外用薬の目安
【軽症】ミディアム(マイルド)クラス以下 一時的に1日1〜2回、適量分布
【中等症】ストロングクラスに変更。一時的に1日1〜2回、適量分布
【最重症・重症】ベリーストロングクラスに変更することもある。症状の強い部位に一時的に1日〜2回、適量分布
また、2歳未満では、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを合併していることが少なくありません。
食物アレルギーでもっとも現れやすい症状が皮膚症状です。
保湿やステロイド外用薬などの治療をしても症状がなかなか改善せず、食物アレルギーが疑われるときは、スクラッチテストなどの皮膚試験やIgE検査を行って、原因になっている食べ物を調べます。
合併していることがわかったら、食物アレルギーの治療も行います。
また、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を服用している場合は、継続して服用します。
最重症・重症の患者さんで、これらの治療をしても改善しないときは、入院して治療を行う場合もあります。
治療の終了または継続・症状の安定
症状がない、またはごく軽い症状で日常生活に支障がなければ、ステロイド外用薬や内服薬による薬物療法は終了します。
皮膚のバリア機能・生理機能を低下させないため、保湿外用薬を使ったスキンケアは続けます。
2歳未満で発症した場合、保湿外用薬によるケアをおこたらなければ、成長とともによくなることが多いですが、アトピー性皮膚炎は再発することがめずらしくありません。
中等症や最重症・重症では、症状が安定したあともミディアム(マイルド)クラスやウィーククラスのステロイド外用薬を常備し、症状が現れたら早めに用いて治療します。
また、症状が完全にぶり返してしまった場合は、医療機関で診察を受けましょう。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
保湿が治療の基本
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能・生理機能低下によって起こる病気です
アトピー性皮膚炎は、体質的に皮膚のバリア機能・生理機能が低い人が、汗やホコリといった刺激を受けたとき、皮膚に炎症がおこる病気です。
どういうわけか、皮膚のバリア機能・生理機能が低い人は、「アトピー素因」も併せもっていることが多いため、アトピー性皮膚炎はアレルギーの病気だと思われがちです。
しかし、必ずしもそうとはいえません。
実は、それがこの病気の特徴なのです。
したがって、これからご紹介する塗り薬や飲み薬による治療は、アトピー素因をもった体質を根本的に治すことを目的にするのではなく、もともと弱い皮膚のバリア機能を補ったり、皮膚が壊れて、かゆみが出てしまった患部の炎症を抑えたりする「対症療法」が中心になります。
具体的には、皮膚のバリア機能を補うには保湿外用薬を、かゆみや炎症を抑えるためにはステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を中心に、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の飲み薬を補助的に使います。
どのような病気でもそうですが、「なぜ、この薬を使うのか」ということをきちんと理解したうえで治療に臨むことがたいせつです。
とくにアトピー性皮膚炎の場合、そうすることによって「副作用がこわくて、ステロイド外用薬を塗りたくない」「ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を塗ってもムダ」というような不安や誤解が生じにくくなり、治療を正しく進めることができます。
皮膚を乾燥させないことが最大の治療です
アトピー性皮膚炎の治療でなによりたいせつなことは、皮膚のバリア機能をこれ以上、低下させないことです。
皮膚を少しでもよい状態に保つことができれば、汗やホコリといった外からの刺激をはねのけることができ、炎症がおこりにくくなります。
では、どうしたら皮膚のバリア機能を保てるのでしょうか。
それは「皮膚にうるおいを与えること」。
つまり、「保湿」のひとことに尽きます。
くわしくは、別なところでお話ししますが、皮膚の外側には角層(角質層)という組織があります。
そのなかでは細胞が層になって積み重なり、水分や皮脂が保たれるしくみになっています。
この皮膚の保湿機能が外からの刺激に対してバリアの役目を果たし、簡単には体内に異物が侵入できないようになっています。
ところが、アトピー性皮膚炎の患者さんは、この角層の構造がもろいためにふつうの人より皮膚が乾燥しやすく、バリア機能が低下していることが知られています。
そのため、外部の刺激をより直接的に受けやすく、過敏に反応したところが炎症をおこし、かゆみの原因となるヒスタミンなどの物質が集まりやすくなるのです。
そこで、アトピー性皮膚炎の症状を改善させたり、再発を予防したりするには、スキンケアで保湿を心がけ、皮膚の乾燥を徹底的に防いで、皮膚のバリア機能を保つことがとてもたいせつになってきます。
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アトピー性皮膚炎の方が気をつけてほしいこと
爪
皮膚をかいたとき、傷ができないように爪は短く切っておいたほうがよいでしょう。
夜中、寝ている間にかいてしまうときは、手袋をしたり、よくかく部分に包帯を巻いたりして、皮膚に傷をつけない工夫をしましょう。
パジャマは長そで、長ズボンのほうがよいでしょう。
室内
部屋が乾燥すると皮膚も乾燥するので、室内の湿度を適度に保ちましょゝつ。
一般的に適度な湿度は50%ぐらいといわれています。
また、まめに掃除をして室内をきれいにしましょう。
食べ物
香辛料などの刺激物は、かゆみを促すことがあるのでほどほどにします。
アルコールやチョコレート、コーヒー、砂糖、脂肪なども人によってはかゆみが出ることがあります。
食生活を振り返って、思い当たるときはその食べ物を控えましょう。
痒みがでたら皮膚をかかない工夫をしましょう
健康な人でもちょっとした刺激でかゆみが出るように、アトピー性皮膚炎の患者さんもなんらかのきっかけでかゆくなることがあります。
かゆいからといって患部をかいてしまうと、皮膚に傷がついて炎症がおこったり、かゆみが増したりして再発のきっかけになります。
また、強いかゆみは、患者さんを悩ませます。
眠りが浅くなって勉強や仕事が手につかず、それでさらにストレスがたまり、かゆみが増すという悪循環に陥ります。
かゆくてたまらないときは、次のような工夫で皮膚をかかないようにしましょう。
皮膚をかかないための工夫
- ・かゆいところにやわらかい布で包んだ冷却まくらや保冷剤、冷たいおしぼりを当 てる
- ・冷却効果のあるスプレー式の保湿外用薬をつける
- ・体を適度に動かす
- ・自分の好きなことをして意識をほかに向ける
このなかで「患部を冷やす」方法は、かゆみの刺激を伝える神経の働きや血行を抑えてかゆみの物質が広がるのを防ぐため、理にかなっているといえます。
アトピー性皮膚炎の患者さんの調査でも「かゆいときは冷やす」という回答がもっとも多かったことがわかっています。
「かきグセ」に注意しましょう
また、アトピー性皮膚炎の患者さんでは、多くの人に「かきグセ」がみられます。
かきグセとは、とくにかゆみはないのに皮膚をポリポリとかいてしまう癖です。
ストレスがかかっているときや緊張したときなどにかいてしまうようです。
かきグセがあると、自分でも気づかないうちに皮膚に傷ができ、症状が悪化したり、再発したりする原因になります。
無意識のうちにしているので、気づくのはむずかしいこともありますが、「体のある部分だけ症状が悪くなっている」「ほかの部位は治ったのに、治らないところがある」というような場合は、かきグセを疑ってみましょう。
かきグセは、本人がまず気づくことが治療の第一歩です。
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適切な治療を始めるには、適切な診断が必要です
アトピー性皮膚炎は、このような病気です
アトピー性皮膚炎とは、皮膚にかゆみを伴う湿疹などの症状が現れ、よくなったり、悪くなったりを繰り返し、慢性化しやすい病気です。
また、患者さんのほとんどが「アトピー素因」と呼ばれる体質をもっています。
アトピー素因をもっているかどうかは、家族歴や既往歴、またはIgE(免疫グロブリンE)を産生しやすいかでわかります。
両親や家族、本人がアレルギー疾患にかかったことがあるかどうかということが家族歴、既往歴で、気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎のうち、どれか一つまたは複数の疾患にかかったことがあれば素因があることになります。
アトピー性皮膚炎という病名は、このような特徴からつけられましたが、実は、アトピー素因をもっていない人でもこの病気になることがしばしばあります。
ですから、診断の際にはアトピー素因を手がかりにしますが、治療を進めるうえでは、あくまでも皮膚症状の改善に注目します。
また、アトピー性皮膚炎の多くは、乳幼児期に発症します。
生まれて間もない赤ちゃんはなりにくく、乳児のほとんどは生後2〜3ヶ月あたりからポッポッと湿疹の症状が出てきます。
患者さんの8割は5歳までに発症しますが、最近では20代や30代になって発症したり、悪化したりするケースも増えています。
アトピー性皮膚炎と思われる患者さんを診断する際にチェックする皮膚の症状については、日本皮膚科学会が「アトピー性皮膚炎の定義・診断基準」としてまとめています。
患者さんを診察して治療方針を決めるとき、多くの臨床医が指針とする「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2005」(厚生労働科学研究社)でもこの診断基準を使用しています。
そのなかのおもをポイントをあげてみましょう。
(1)かゆみがある
(2)特徴的な皮疹とできやすい部位
・赤い発疹(紅斑)、ジクジクした赤い発疹(湿潤性紅斑)、かさぶた(痴皮)、皮膚の表面がゴワゴワと硬くなる(苔癖化)、皮膚が細かくはがれた状態(鱗屑)など。
・額、目や口のまわり、唇、耳のまわり、首、手足の関節、胴体などにできやすく、体の左右の同じような場所にみられる。
(3)経過
・症状が繰り返しおこる。
・乳児では2ヶ月以上、そのほかの年齢では6ヶ月以上症状が続いている。
診断基準のうち、(1)、(2)および(3)があてはまれば、軽症や重症を問わずアトピー性皮膚炎と診断されます。
また、家族のなかにアトピー性皮膚炎や気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎を患った人がいる場合や、本人がアトピー性皮膚炎以外のこれらの病気になっているときは、診断基準の(3)で決められた経過期間より早期に診断されることがあります。
痒みの程度は、点数にします
診察では、診断基準に沿って「かゆみ」「皮膚の状態」「発症してからの経過」の3つのポイントを診ます。
かゆみの程度や発症してからの経過、繰り返し症状がおこるかどうかについては、問診や質問票で確かめます。
症状について自分で説明ができない乳幼児の場合は、つき添いの両親や保護者などから話を開きます。
かゆみは、本人以外にはわかりにくい症状です。
そこで、よく用いられる方法として「VAS(ビジュアル・アナログ・スケール)」があります。
紙に長さ10cmの横線が引いてあって、目盛りが刻まれています。
左端の0は「まったくかゆみがない」、右端の10(または100)は「もっともひどいかゆみ」を表します。
これで今のかゆみの程度がどれくらいなのか、点数をつけてもらうわけです。
VASによってかゆみの程度を数字にすることで、他人にはなかなかわかってもらえない、かゆみという自覚症状を客観的にとらえることができます。
皮膚の状態については、目や鼻、口のまわり、ひじなどの関節の裏側、首など症状が出やすい部位に皮疹(皮膚に生じた変化。発疹ともいう)があるか、体の左右対称の同じような場所に出ているか、全身の皮膚が乾燥しているかなどを診ます。
目で見るだけでなく、実際に触って診察します。
また、かゆみや皮疹があっても、体の片側だけや一部分だけにみられる場合は、かぶれなどほかの病気にって症状がおこっていると考えられます。
アトピー性皮膚炎と除外すべき病気
・手湿疹(アトピー性皮膚炎以外の手湿疹) ・皮膚リンパ腫 ・乾癖 ・免疫不全による疾患 ・膠原病(SLE、皮膚筋炎) ・ネザートン症候群 ・接触性皮膚炎(かぶれ) ・脂漏性皮膚炎 ・単純性痺疹 ・疹癖 ・汗疹(あせも) ・魚鱗癖 ・皮脂欠乏性湿疹
日本皮膚科学会が作成したアトピー性皮膚炎の診断基準では、これらの病気について十分な鑑別診断が必要としています。
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アトピー性皮膚炎の主な検査法
アトピー性皮膚炎の検査には、免疫にかかわる抗体や免疫細胞の量などを調べる血液検査や、アレルギー反応をおこすアレルゲンを確かめる皮膚試験などがあります。
皮膚試験は、通常の治療をしてもなかなか症状がよくならない人や、食物アレルギーを合併している疑いがある場合、アレルゲンを特定するために行います。
おもな検査は、次のとおりです。
血液検査
・IgE
血液中のIgE(免疫グロブリンE)の量を調べます。
IgEは、アレルギー反応がおこったとき、体内でつくり出される抗体です。
アトピー性皮膚炎の患者さんでは、80%ぐらいの人がふつうの人より多量になります。
ダニに対するIgE、卵白に対するIgEなどが検出できます。
幼児期以降の通常のアトピー性皮膚炎ではダニやハウスダストに対するIgEがいちばん高いパターンを示します。
この場合、一般的な生活指導のみです。
でもたとえば、動物の毛に対するIgEがダニと同じくらい高い場合には、通常のパターンではありませんので、ペットとの接触については注意してもらいます。
乳幼児で食物アレルギーの合併が疑われる場合には、IgE検査、皮膚試験などを行ってアレルゲンを特足します。
・好酸球
好酸球は白血球の一種です。
炎症やアレルギー反応があるところに集まってくるので、アトピー性皮膚炎になると増えるという特徴があります。
実際、85%ぐらいの患者さんで多量の好酸球がみつかります。
皮膚試験
・皮内テスト
アレルゲンを溶かした液を皮下注射して、アレルギー反応をみます。
・スクラッチテスト
前腕の屈曲部に針などで傷つけ、そこに直接アレルゲンを少量たらし、アレルギー反応をみます。
・パッチテスト
皮膚にアレルゲンを塗ったシートをはって、アレルギー反応をみます。
アトピー性皮膚炎におけるIgE検査の意義
血液検査や皮膚試験もたしかに行いますが、アトピー性皮膚炎の診断では、「かゆみ」「皮膚の状態」「発症してからの経過」の3つのポイントを重視しています。
アトピー性皮膚炎のなかにはアトピー素因がなくても発症する人がいることから、血液検査などの検査は診断の参考として行うくらいです。
そのため、IgEの結果はあまり重視しません。
しかし、血液中のIgEは病気が軽快してくるとゆるやかに減少することから、この検査値で病気の改善状態を見て、その変動を知ることで長期間にわたる治療をがんばれるという患者さんもいます。
このような患者さんに対しては、IgEの血液検査を定期的に行って、治療効果を確かめていくこともあります。
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治療中でも妊娠は出来る?
アトピー性皮膚炎の患者さんもふつうに妊娠・出産することができます。
ただし、妊娠中や授乳中は、タクロリムス外用薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬は使えません。
これらの薬は、胎児や乳児になんらかの影響を及ぼす可能性があるからです。
治療でこれらの薬を用いているときに妊娠を希望する場合は、かかりつけの医師に相談したほうがよいでしょう。
また、妊娠中は、ほとんどのケースでアトピー性皮膚炎の症状が悪化します(ごくまれに、びっくりするぐらい症状がよくなる女性もいます)。
しかし、妊娠中や授乳中もステロイド外用薬は塗り続けることができるので、担当医と相談しながら治療を進めていきましよう。
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アレルゲン除去はほどほどに
厚生労働科学研究社がまとめたガイドラインでは、アトピー性皮膚炎の治療の柱の一つとして「原因・悪化因子の除去」をあげています。
これを「アレルゲンの除去」だと思ってがんばってしまう人が多いのですが、それは誤解です。
たしかに、ヒョウヒダニ(ダニの一種)、動物の毛、フケなどはアトピー性皮膚炎を悪化させる物質(アレルゲン)とわかっていますが、これらをすべて完壁に除去することは、不可能といってもいいでしょう。
なにより家から一歩外に出れば、大気中にはダニやホコリがたくさん浮遊しています。
アレルゲンの除去どころではありません。
アレルゲンの除去は、ほどほどにしておいても、アトピー性皮膚炎は、スキンケアと薬物療法をしっかり行えば、かなりの人は皮膚の状態がよくなります。
室内は、一般の掃除機で少しこまめに掃除をする程度で問題ありません。
寝具も素材に注意して清潔に使用すれば、高価なものをそろえなくても十分にまかなえます。
食事についても同様です。
やみくもにアレルゲンと思われる食べ物を避けることは問題です。
成長期にある子どもの場合、栄養不足に陥りかねません。
アレルゲンとなっている食べ物の除去は、アトピー性皮膚炎に食物アレルギーを合併していて、どの食べ物がアレルゲンかがはっきりしているときだけに行います。
つまり、ガイドラインのいう「原因・悪化因子の除去」とは、徹底した「アレルゲンの除去」というより、むしろ、ストレスをためない、汗をこまめにふく、刺激をさけるといった、自分で実行できる日常生活上の注意点を指しているのです。
民間療法では、アトピー性皮膚炎は治りません
アトピー性皮膚炎では、これまでステロイド外用薬に対してまちがった考え方や不安が根強くあったため、たくさんの民間療法が登場しています。
「アトピー性皮膚炎が治る」「アトピー体質・アレルギー体質が変わる」と書いた広告を数多く目にします。
なかには非常に費用のかかる方法もあるようです。
このような民間療法の多くは、「○○さんが治った」「○○さんの喜びの声を紹介」というように、個別のケースを紹介しています。
たとえその広告のとおりであったとしても、その治療はその人に効いたのであって、誰にでも効くとは限りません。
民間療法の、なにもかもが悪いというわけではなく、実際、精神的な部分で支えになって、症状の改善をもたらしてくれる可能性もないとはいえません。
しかし、「ステロイド外用薬を使わずに」といった、薬物療法の中止を促すものにはとくに注意が必要でしょう。
民間療法だけに頼り、正しい治療をしなかったために、せっかくの治すチャンスを逸して、悪化させるケースや重症化につながる危険性もまた少なくないのです。
あくまでも治療の基本は、「スキンケア」、「薬物療法」そして「原因・悪化因子の除去」です。
時間はかかるかもしれませんが、回復へのいちばんの近道であることに変わりありません。
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大人のアトピー性皮膚炎による「赤ら顔」を治すことは出来る?
少し前まで「赤ら顔」は治りにくい症状の;とされていましたが、タクロリムス外用薬を使えるようになった現在では、きれいに治すことができるようになっています。
タクロリムス外用薬が出る前は、赤ら顔の治療には、比較的強めのステロイド外用薬を長期的に使わなければなりませんでした。
しかし、実際には副作用の問題などによって、ほとんどの場合、症状が完全にとれる前に使用を中断せざるをえず、なかなか治らないという状態でした。
その点、タクロリムス外用薬は、ステロイド外用薬のような副作用がないので、長期的に安心して使うことができます。
ステロイド外用薬の代わりにタクロリムス外用薬を使うことで、赤ら顔の治療効果は大きく改善しました。
これとは別にかゆみを伴わない赤み、たとえば、お酒を飲んだり、緊張したりしたときに、皮疹があったところが部分的に赤くなることがあります。
このような「反応性の赤ら顔」に対しては、更年期障害のほてりやホットフラッシュによく用いられる漢方薬の桂枝茯苓丸が有効なことがあります。
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環境の改善は、ダニの除去や食べ物の制限ではありません
「環境」という言葉について、勘違いされやすいのでひとことつけ加えておきましょぅ。
医者が患者さんに「環境を改善するように」と指導すると、一生懸命に掃除機をかけて徹底的にダニを除去したり、食べ物の制限ばかりに気を配ったりする人が少なくありません。
どうやら環境とアレルゲン(アレルギー症状をおこす原因物質)を混同しているようです。
医師が意図する環境とは、「規則正しい生活を送る」、「汗対策をしっかりする」、「ストレスをためない」といった、日常生活の基本的な改善を指します。
アトピー性皮膚炎は、季節や生活環境、ストレスなどによって症状が左右されやすい病気です。
医師の指示どおりにしっかりと治療していても、不規則な生活やストレスがかかる環境に身を置いていれば、治療効果は思うように上がりません。
ですから、食生活が不規則なら1日3食の時刻を決めて、栄養のバランスのとれた食事をする。
また、睡眠はしっかりとる。
汗をかいたらタオルでふき取るか、衣類をこまめに着替える。
ストレスはためないなどに気をつけ、症状を悪化させる条件にはしっかり対策をとるようにしましょう。
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ビオチンや乳酸菌などがアトピーに良い?
ビオチン(ビタミンンB群の一つ)、乳酸菌とも、その効果を確認した臨床試験はありません。
ただし、私のこれまでの臨床経験上、乳酸菌(ドリンクタイプのもの)に限っていえば、個人で購入したものを飲んで症状が改善した人は数人います。
ビオチンでは、そのような個人の例も今のところ経験していません。
もちろん、乳酸菌を飲んでよくなった患者さんも、保湿外用薬やステロイド外用薬などの治療をしっかりとやっています。
乳酸菌を飲んだだけで症状が改善したわけではありません。
あくまでも、治療のベースは保湿と薬物療法であることを忘れずに、乳酸菌は補助的に飲むようにしましょう。
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レーザー治療は効果的?
アトピー性皮膚炎そのものの症状に対するレーザー治療の有効性については、今のところ臨床試験で確かめられていません。
ただ、アトピー性皮膚炎が治ったあとに首などに残ったシミのようなもの(炎症後色素沈着)に対しては、Qスイッチレーザー(メラニンなど黒色に反応するレーザー)を照射する治療が行われることがあります。
また、ステロイド外用薬の副作用でおこる毛細血管拡張(毛細血管が広がり、網目状などになる状態。赤ら顔の原因にもなる)に、ダイレーザー(血液中のヘモグロビンなど赤色に反応するレーザー)による治療を行うこともあります。
いずれにしても、アトピー性皮膚炎の人はもともと皮膚のバリア機能・生理機能が弱いので、レーザー治療は非常に慎重に行わなければならず、まずごく小さな範囲でテスト照射をして、皮膚の状態を確かめてから、照射する範囲を徐々に広げていくような方法をとることになります。
レーザー治療を行っていない皮膚科も多いので、現在受診している施設で治療できないときは、担当医にレーザー治療を専門的に行っている病院やクリニックを紹介してもらうとよいでしょう。
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アトピー転地療法
転地両方とは、環境を変える治療法です
「転地療法」という治療法を耳にしたことはありませんか。
この治療法は、名前に転地とあるように、今、住んでいる場所とは違う場所に移り住み、アトピー性皮膚炎の症状の改善をめざすものです。
夏休みや冬休みなどの長い休みのときだけ一時的に移り住む場合と、永住する場合があります。
転地療法をすることで、アトピー性皮膚炎がすっかり治ったかと思うくらい、良好な状態が続くことがあります。
効果はあるが、簡単には出来ない
では、なぜ転地療法は効果があるのでしょうか。
それは環境が変わることにあります。
アトピー性皮膚炎では、夏に悪化する人、冬に悪化する人など、季節や気候によって症状が軽快したり、悪化したりします。
そこで、夏の湿気やジメジメした環境で悪化しやすい人は空気の乾燥した地域に、反対に冬の乾燥で悪化する人は、少し湿度の高い地域に住むと症状が軽くなります。
実際、気候のよいところに移り住めば、症状がきれいに治ることは確かです。
しかし、残念なことに転地療法は誰もが簡単にできるわけではありません。
このような現象からみても、アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患というより生活環境に強く影響される病気であるといえるでしょう。
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体質を変えなければ、アトピー性皮膚炎はよくならない?
現代の医学では体質を変えることはできません。
「体質を変えて、アトピー性皮膚炎を治す」というようなことをキャッチフレーズにしているアトピービジネスが昨今出てきているようですが、今の医学では、体質を変えることはできないということを知っておいてください。
そもそも体質とは遺伝的な資質であり、遺伝子操作でもしない限り変えられるものではないのです。
しかし、体質そのものは変えられなくても、症状を軽くするようにコントロールすることはできます。
それは当サイトで紹介してきた日常生活でのケアの仕方、薬の正しい使い方を読んでいただければ、コントロールの仕方はおわかりいただけるはずです。
また、ここで確認しておかなければならないことは、アトピー性皮膚炎の原因が体質によるものではないということです。
確かに湿疹ができやすいなどといった皮膚が弱い体質の人はいます。
しかし、その人がすべてアトピー性皮膚炎になっているとは限りません。
体質よりもむしろ生活環境や、生活の仕方などに注目すべきでしょう。
体質を変えることを考えるよりも、湿疹が出たら薬を塗って治す、日常生活に気をつけるなどして、日常のケアをきちんと行うことのほうが現実的です。
「体質を変える」などといった謳い文句につられ、まちがった治療を選択しないよう、正しい知識を身につけておくことがとても大事です。
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皮膚科学会 治療のガイドラインについて
2000年5月、日本皮膚科学会は「アトピー性皮膚炎・治療ガイドライン」を公表しました。
このガイドラインは、日本皮膚科学会が示したアトピー性皮膚炎の基本治療方針で、10項目から構成されています。
民間療法も含め、実にいろいろな療法が広範に見られるなか、日本皮膚科学会として適切な治療の目安を示したものです。
当サイトでは、各項目のなかでも、とくに患者さんにかかわる部分を抜粋してご紹介します。
多少難しい表現があるかもしれませんが、治療の基本骨子となることですので、極力ガイドラインに沿った記述にとどめてあります。
ぜひご寛容いただきたく思います。
1 はじめに
アトピー性皮膚炎の病態を慢性の経過をとる湿疹としてとらえ、その炎症に対してはステロイド外用療法を主とする。
生理学的機能異常に対しては、保湿剤外用などを含むスキンケアを行い、かゆみに対して抗ヒスタミン割、抗アレルギー割を補助療法として併用し、悪化因子を可能な限り除去することを治療の基本とする。
2 病態
アトピー性皮膚炎は、かゆみをともなう皮膚に慢性的に経過する炎症をその病態とする湿疹・皮膚炎群の病気である。
慢性に経過するも、適切な治療によって症状がコントロールされた状態に維持されると、自然寛解(※1)も期待される。
※1 自然寛解 病気の症状が軽減またはほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態。治癒とは異なる。
2 診断
日本医学学会の診断基準
4 重症度
治療の主体である外用(塗り薬)療法の選択は「個々の皮疹の重症度」によってなされるもので、皮疹の重症度と皮疹の広がりから評価される「病気としての重症度」により決定されるものではない。
すなわち、範囲が狭くてもひどい湿疹には重症であるとして強い塗り薬が選択されるが、範囲が広くても軽度の湿疹の場合には強い塗り薬は必要としない。
5 治療の目標
治療の目標とは患者を次のような状態にもっていくことにある。
(1)症状はない、あっても軽微であり、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない。
(2)軽微または軽度の症状は持続するも、急性に悪化することはまれで、悪化しても蔓延することはない。
6 薬物療法
アトピー性皮膚炎を完治させる薬物療法はない。
したがって対症療法を行うことが原則となる。
(1)アトピー性皮膚炎の炎症を速やかにかつ確実に鎮静でき、患者の苦痛を取り除ける薬剤で広く使用でき、その有効性と安全性が科学的に評価されているものは現在のところステロイド外用剤の他になく、いかにそれを選択し、使用するかが治療の基本となる。
その他の外用剤では非ステロイド系消炎剤外用剤があるが、抗炎症作用は極めて弱く、接触皮膚炎を生じることがまれではないため、その適応範囲は狭い。
最近使用が開始された外用剤として移植免疫抑制剤タクロりムスがある(現在、成人のアトピー性皮膚炎のみを対象)。
(2)ステロイド外用剤によって炎症が鎮静したあとも、乾燥およびバリアー機能の低下を補完し、炎症の再燃を予防するためにステロイドを含まない外用剤でスキンケアを行う必要がある。
これを怠ると、炎症が容易に再燃し、ステロイド外用療法の意義の低下につながる。
(3)アトピー性皮膚炎の自覚症状としてかゆみをともなうのが特徴である。
その苦痛の軽減と、かいたりひっかくなどして湿疹を悪化させることを予防するために抗ヒスタミン作用のある薬剤を使用する。
7 悪化因子の検索
患者と医師の問で信頼関係ができ、6で説明した薬物療法が十分に行われれば、ほとんどの例では治療の目標を達成できる。
達成できない例では悪化因子の検索が必要となるが、年齢層により関与が疑われる因子に若干の遣いがある。
8 心身医学的側面
成人の重症例では、人間関係、多忙、進路著藤、自立不安などのアトピー性皮膚炎以外の心理社会的ストレスが関与し、噌癖的あるいは依存的ともいえる掻破行動が生じ、皮疹を悪化させている例も少なくない。
小児の例でも、愛情の欲求不満から同様の掻破行動が見られることがある。
このような場合には心身両面からの治療が必要であり、精神科医を含めたチーム医療が必要になることもある。
9 生活指導
・入浴、シャワーにより皮膚を清潔に保つ
・室内を清潔に保ち、適温・適湿の環境をつくる
・規則正しい生活を送り、暴飲・暴食は避ける
・刺激の少ない衣服を着用する
・爪は短く切り、掻破による皮膚障害を避ける
・ステロイド外用剤の使用によるためではなく、目のまわりの皮疹をひっかいたり、たたいたりすることで眼病変(白内障、網膜裂孔、網膜剥離)が生じることに留意する。
顔面の症状がひどいケースでは眼科医の診察を定期的に受ける。
・細菌・真菌・ウイルス性皮膚感染症を生じやすいので、皮膚をよい状態に保つようにする。
10 その他の治療法
その他の特殊な治療法については、一部の施設でその有効性が強調されているだけで、科学的に有効性が証明されていないものが多く、基本的治療法を示す本ガイドラインには取り上げない。
第2選択治療(専門医の判断)
薬物治療は、炎症やかゆみ、乾燥など皮膚の症状に応じて、第1選択治療として、ステロイド外用薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、保湿薬(または保湿作用のあるスキンケア製品など)が使い分けられる。
それでも改善しない場合は、第2選択治療が行われる。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
汗をよくかく人は、ふだんからまめに汗を洗い流す工夫を
汗は刺激となって、皮膚の湿疹を悪化させます。
ですから、アトピー性皮膚炎の人で汗をよくかく人は、汗をかいたらすぐにふき取るよう汗対策をしておく必要があります。
皮膚は常に清潔に保つよう心がけて、外出先では洗えるところだけでも洗い流すようにしましょう。
使い捨てのペーパータオルを携帯しておき、汗をたくさんかいたなと思ったら、水に濡らして、とんとんとたたくようにして汗を吸い取るようにします。
汗を吸い取ったら、次は乾いたものでていねいにふいておきます。
とにかく、完全に水気を取っておくことを心がけます。
これだけでも、汗による刺激が少なくなり、かゆさはかなり軽減されます。
汗をふくときも、何度も繰り返し汗をふいたハンカチは不潔なので使ってはいけません。
ハンカチに残った汗が、また刺激となって皮膚の症状を悪化させます。
そして、帰ったらすぐにシャワーで汗を流しておくこともお忘れなく。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
顔を覆う治療が効く
薬を塗った布をお面のように覆う治療法、「お面包帯法」
顔の湿疹がひどくじくじくしていたり、ただれている場合の治療は難航することがあります。
じくじくしたり、ただれたようになった湿疹の原因が細菌感染やウイルス感染症である場合には、抗生物質や抗ウイルス剤を授与し、局所にはポピンヨードを塗り、抗生物質を含む軟膏を直接塗ります。
細菌感染やウイルス感染症のケースではこうすることで症状は軽快することがあります。
しかし、じくじくやただれたようになった原因がはっきりしない場合には、その症状に合った軟膏療法を行います。
私はこの場合、40年前に小堀辰治先生から直伝されたカーボワックス基剤の軟酉でお面包帯を行っています。
方法は次のとおりです。
(1)ガーゼを5、6枚重ねて、それに目と鼻と口に当たる部分を切り取って、穴をあけます。
(2)そのガーゼの上に、カーボワックスに亜鉛華とグリテールの入った軟膏をのばします(具体的には、グリパスCという商品名で市販されているものが現在入手できる唯一のものでしょう)。
(3)軟膏をのばしたガーゼをお面をつけるように顔面にあて、はがれないように、その上から包帯でグルグルに巻きます。
(4)カーボワックス基剤は吸湿性はよいのですが、水をたくさん含むとべトベトになるので、1日に2回くらい包帯交換をします。
以上の方法を正しく行うことで、2、3日で、じくじくしていた皮膚の表面が、きれいに表皮化してきます。
薬の落とし方ですが、カーボワックス基剤は水によく溶けるので、ガーゼ交換したときは、ぬるま湯で洗えば取ることができます。
シャワー浴をすれば、より完全に流して取ることができます。
これを何日か繰り返して、顔の表皮形成が見られたら、塗るのをワセリン基剤の軟膏に変えます。
お面包帯法は顔の治療に行いますが、これが顔でなく、手足やからだならばステロイド軟膏を塗り、その上にカーボワックスに亜鉛華とグリテールの入った軟膏を重ねて塗ります。
お面包帯法に使う薬は臭いもよくありませんし、色もついているので、嫌われる患者さんもいらっしゃいますが、効果がきちんと得られるので、顔がひどくじくじくしている患者さんにはこの方法を行います。
お面包帯法のやり方は、決して簡単ではないので多くの場合入院して行いますが、一度方法を覚えると患者さんが自分で行うこともできます。
実際、退院後に急に症状が悪化したときなど自宅で行い、軽くすませている人もかなりいらっしゃいます。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
室内の環境で注意すること
風通しを良く、換気をよくして清潔に
アトピー性皮膚炎の患者さんの住環境として、気をつけなければならないのは、換気です。
室内の風通しをよくしましょう。
居間、台所だけでなく、お風呂やトイレにも窓があれば、できるだけ開けておき、換気扇がついているのであれば、なるべくつけておくようにしましょう。
室内を通気性のよい環境にするだけで、症状がかなりよくなる患者さんは案外多いのです。
また、暖房をつけて部屋を閉め切ってしまいがちな冬はもちろんのこと、夏も定期的に窓を開けるなどして、換気には十分注意します。
夏はクーラーのフィルターを清潔にしておかないと汚れた空気が室内を循環することになるので、定期的にフィルターをはずしてしっかり洗い、室内はいつもきれいな空気が循環するようにします。
マンションに住む場合、和室では和式で、洋間なら洋式の暮らし方をすること
洋間に、椅子やソファーを置かずに、床にじゅうたんなどを敷き、和式のままに暮らす人がいらっしゃいます。
しかし、そうした建物のスタイルと生活様式の違いによって、湿疹が出る、悪化するといったケースも少なくありません。
私は、マンションに住む場合、和室では和式で、洋間なら洋式の暮らし方をすることを勧めています。
たとえば、カーペットあるいはじゅうたん敷きの洋間では床にあぐらや正座をして座るのではなくソファーか椅子に座る、寝るときはベッドで寝る、そして足下には室内履きを履いて過ごす、といったまったくの洋式スタイルで暮らすようにするのです。
それが皮膚の健康を守るためにはよいことなのです。
事例:居間と寝室を入れ替えて、症状がよくなった!
キャリアウーマンのK子さんは、結婚後も仕事を続ける共働き夫婦です。
幸せいっぱいの新婚生活のスタートと思っていたのですが、結婚後、アトピー性皮膚炎の症状がどんどん悪くなり医師の診察を受けました。
子さんが、結婚後、症状が悪化したと聞き、新居の間取り図を見せてもらうことにしました。
するとK子さんのリビングは、日当たり、風居間と寝室を入れ替えて通しともに申し分ないのですが、寝室が問題でした。
K子さん宅の寝室は静かなのですが、日当たりも風通しもあまりよくなかったのです。
また、K子さん夫婦は共働きですから、家には夫婦ともに眠りに帰るだけのような毎日です。
そこで、リビングにベッドを移動して寝室にしてもらい、これまで寝室に使っていた部屋をリビングとして使うようにしました。
すると、どうでしょう。
症状はどんどんよくなっていったのです。
風通しがよく、日当たりがよい部屋は、アトピー性皮膚炎の患者さんには、とてもよい環境です。
ですから、K子さんのように家で一番長時間過ごす場所(寝室)には、ベストの環境の部屋を充てるべきなのです。
部屋の形や見かけではなく、自分にとって快適な環境でぐっすり眠れて症状がよくなったならば、それこそが本当に居心地のよい家であるといえるのではないでしょうか?
カテゴリー:アトピー対策・治療法
アトピーの民間療法の注意点
最近の民間療法のなかには商業主義で、ときには高額な薬や、保険のきかない治療を施すなどして、かえって症状を悪化させてしまうものがあります。
それを、ここではあえて「アトピービジネス」と呼びます。
こうしたアトピービジネスにだまされないためには、病気について、また治療についても正しい知識を身につけておくべきです。
医者の多くは、健康保険を使って治療しています。
治療も「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」に沿って行われています。
一方、アトピービジネスは「保険で認められている治療ではきかないですよ、私たち(民間)が行っている方法のほうが優れていますよ」と宣伝し淘健康保険の効かない民間療法を勧めています。
その療法も、場合によっては法外な金額を要求されるなど、トラブルも多いのです。
また、アトピー性皮膚炎は、よくなったり悪くなったりを慢性的に経過する病気です。
民間療法のなかにはそうした特徴に目をつけ、「皮膚科の治療でなかなか治らないのは、治療がまちがっているからではないですか? 私たちが行っている治療法なら治りますよ」 と、アトピー性皮膚炎に悩む人の焦りや不安につけいり、心のすき間をねらって勧誘してくるケースもあります。
そうした民間療法のなかには、科学的根拠のないものや、また資格のない人が行っていることもあり、高額な治療費を払ったのに思ったほどに症状が改善しなかった、あるいはかえって悪化したなどといったトラブルも多いので注意が必要です。
また、アトピービジネスに力を貸している医師もいるので、「この民間療法は、医師が参加(サポート)しているから大丈夫」と過信しないようにしてください。
日本皮膚科学会からも注意を喚起されています。
健康保険で認められている治療法は医の倫理にかなった、データに裏付けられた方法で行われています。
一方、民間療法は科学的データの裏付けはありません。
患者さんが自分の責任で試みる方法です。
アトピービジネスの被害に遭わないようにするためには、基本的な考え方として、何事にも「なぜ?」という疑問をもつようにすることです。
自分の考え方を科学主義、合理主義にして、アトピー性皮膚炎と向き合うことです。
そして当サイトで紹介する内容や、アトピー性皮膚炎についての知識と情報と照らし合わせてよく考えてみてください。
たとえばステロイド剤が本当に「怖い薬」なのか、体質を根本的に変えられるかどうか。
雰囲気に流されずに一つひとつ検証していけば、アトピービジネスに失敗することもなく、今自分がすべきことは何かがわかり、必ず道は拓けるはずです。
アトピービジネスの勧誘の言葉に心まどわされず、正しい知識をもって治療に向け、工夫する努力をすること。
それができればどんなものに頼るよりも確実に、アトピー性皮膚炎の治療に向け前進したことになります。
これが効かなかったから、次はあれに変える…、などといった、次々にものに頼ろうとする姿勢ではいつまでも治らないということを覚えておいてください。
こんなアトピービジネスに気をつけてください
- ・ステロイド剤を治らない原因であるかのように、悪者にする
- ・薬で対症療法的に治すのではなく、根本的に治さないと意味がないと言う
- ・アトピー性皮膚炎を難病だと主張する
- ・保険がきかない特別な治療である
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治療のゴールは、症状が出ない状態
アトピー性皮膚炎の多くは、その人が生まれつきもっている体質がたしかにかかわっています。
病気を完全に治すには、体質そのものを変えなければいけません。
しかし、残念ながら今の医療では、そこまでの治療法は開発されていません。
そこで日本皮膚科学会では、治療のゴール(寛解)を次のように決めています。
- (1)症状がない。あるいはあっても軽微であり、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない。
- (2)軽微ないし軽度の炎症は持続するが、急性に悪化することはまれで、悪化してもだらだらと続くことはない。
治療のゴールに示された軽微とは、炎症がほとんどみられず、皮膚の乾燥を主体にした状態です。
アトピー性皮膚炎は、ガイドラインに沿って治療を続けていけば、ほとんどのケースで症状は改善します。
乾燥に対する保湿は寛解したあとも欠かせませんが、ステロイド外用薬などをまったく使わなくても過ごせるようになる人もいます。
また、薬を完全にやめることはできなくても、ほんの少量だけですんでいる人たちもおおぜいいます。
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アトピー性皮膚炎を根治する方法はある?
根治にこだわるよりも、悪化しないよう対症療法を行うのが治療の基本
アトピー性皮膚炎は、慢性的によくなったり、悪くなったりを繰り返す病気です。
原因についても特定することができないので、アレルギー疾患のように、ある特定のものを取り除くことで治すということもできません。
今のところ「アトピー性皮膚炎はこうすれば根本的に治すことができる!」という方法は見つかっていないのです。
したがって、かゆみ、湿疹などの症状を抑える対症療法を行っていきます。
湿疹には薬を塗り、症状に異変があった場合は、かかりつけの医師の診察を受けて、処方された薬を正しく使います。
いつまでもよくならないという患者さんの場合、湿疹のひどいところをかいたりして傷つけたり、衣類の素材や寝具、洗剤などで刺激を与えたことで、悪化させていることが多いので、ふだんのケアがとても太切です。
湿疹ができている部分は、ちょっとした刺激で悪化するおそれがあるので、症状にあった塗り薬を毎回きちんと量を守って塗り、清潔にしておきます。
当サイトで紹介する日常生活のケアも、ぜひ実行してください。
薬を正しく使い、日ごろのケアをきちんとしておけば、たとえ完治できなくとも、かなりそれに近い状態にすることができます。
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アトピー性皮膚炎の診断基準について
1995年、日本皮膚科学会でアトピー性皮膚炎の診断基準が作られました。
アトピー性皮膚炎という病気が、検査結果で出たデータで判断できるものでなく、その症状で診断する病気であるため、次のような診断基準が作られたのです。
アトピー性皮膚炎の定義
アトピー性皮膚炎は、よくなったり悪くなったりを繰り返し慢性に経過する、かゆみのある湿疹を主な病変とする病気。
患者の多くはアトピー素因(※)をもつ。
※ アトピー素因 家族あるいは患者本人が、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトビー性皮膚炎のうちのどれか、またはこれらのいくつかになったことがある。
またはIgE抗体をつくりやすい素因。
診断基準
以下の1、2、および3の項目を満たすものを、症状の軽さ、重さを問わずアトピー性皮膚炎と診断します。
そのほかは、急性または慢性の湿疹とし、経過を参考にして診断します。
1 かゆみがある
2 特徴的な皮疹と分布
(1)皮疹は湿疹病変である
・急性病変
紅斑(こうはん)…赤い
湿潤性紅斑(しつじゅんせいこうはん)…じゅくじゅくと赤い
丘疹(きゅうしん)…細かいぶつぶつ
奬液性丘疹(しょうえきせいきゅうしん)…水分を含む細かいぶつぶつ
鱗屑(りんせつ)…表皮がかさかさとむける
痴皮(かひ)…かさぶた
・慢性病変
湿潤性紅斑・鱗屑・痴皮
苔癬化(たいせんか)病変…皮膚が分厚くなって硬くなる
痺疹(ようしん)…かゆみの激しい米粒大〜大豆大の硬いドーム状の盛り上がり
(2)分布
・左右対称に現れる
・よく起こる場所…ひたい、目のまわり、口のまわり、くちびる、耳たぶのまわり、首、手足の間接部(裏側)、胴(背や腹、わき腹)
・参考となる年齢による特徴
乳児期…頭、顔に始まりしばしば胴、手足に下がる
幼少児期…首、ひじやひざの病変
思春期・成人期…上半身(顔、首、胸、背)に皮疹が多い傾向
3 慢性・反復性の経過
湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返しながら慢性的に経過する。
皮疹は、新しくできたものと前からあるものが混在する。
乳児では2ヶ月、その他では6ヶ月以上を慢性とする。
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日光浴がアトピー肌に効く?
日光浴は、皮膚を強くします
日光に当たると皮膚は丈夫になります。
それは、日光の紫外線を浴びることで、それ以上ダメージを受けまいと皮膚の角質層が厚くなり、免疫機構が強化されるからです。
免疫機構が強化されると外部から受ける刺激にも強くなります。
こうした変化がアトピー性皮膚炎の患者さんの弱い皮膚を、結果として強くすることになるのです。
冬も自宅で日光浴を
自宅でサンルームを作って、日光浴する方法もあります。
冬は日差しが弱いので、日光浴の効果がないと思われがちですが、冬の日光でも紫外線は少ないということはないのです。
ガラス窓を適した日差しでも十分に紫外線を受けることができるので、寒いからといって部屋にこもらずに積極的に日光浴をしましょう。
ただしガラス越しでは紫外線のうち弱いA波しか通さないので、さらに効果的な日光浴を行いたいのならば、園芸用のビニールを使ってサンルームを作る方法があります。
網戸一面にビニールを張っておけば、窓を開けても冷たい風は通らずに、紫外線はたっぷり受けることができます。
この方法で、冬でも室内の日光浴が可能となります。
また、部屋を暖房で適度に温めれば、薄着でも大丈夫です。
できるだけ皮膚を紫外線に当てて、冬の日光浴も気持ちよく行いましょう。

日光浴をしても皮膚の負担になりませんか?
日光浴の仕方に気をつければ、負担になりません。
日光浴は、その仕方に気をつける必要があります。
昼間一番目差しの強い時間に一気に日光に当たって、皮膚が真っ赤になるような日光浴をしてはいけません。
日光浴をするなら、午前中ならば午前10時まで、午後は3時以降の日差しのやわらかい時間に行います。
日差しの強い正午前後の4〜5時間に日光浴をすると、皮膚が真っ赤になってしまいます。
これは日光浴による「日焼け」を超え、「やけど」の状態になっているので注意が必要です。
こうした「やけど」の状態にしてしまうと、湿疹の悪化だけでなく、皮膚がんになるおそれも出てきます。
とくに、皮膚が弱いアトピー性皮膚炎の人は、皮膚の状態をさらに悪化させてしまうことになります。
アトピー性皮膚炎の人もそうでない人も、一番日差しの強い時間に日光浴をしてはいけません。
日光浴をするならば強い日差しにあてて、皮膚が真っ赤になって水泡やかゆみの出ることのないよう、朝日や夕日でじわじわと時間をかけて皮膚の色が小麦色になるくらいにしておきましょう。
皮膚にはそれくらいがちょうどよいのです。
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アトピーの悪化因子に気をつけ、再発を防ぎましょう
しばらくたってから、再発することもあります
アトピー性皮膚炎は、皮膚に湿疹などのかゆみを伴うさまざまな症状が現れ、よくなったり、悪くなったりを繰り返しやすい病気です。
アトピー性皮膚炎になる人は、もともと皮膚のバリア機能が弱いうえ、多くの場合、アトピー素因をもっていることが知られています。
そして、治療はアトピー素因をどうにかしようというのではなく、「もともと」の部分であるバリア機能の弱さを改善できるかどうかがキーポイントになります。
つまり、基本は保湿ケアです。
その基本を守っていれば、アトピー性皮膚炎は、成長に伴って改善することが多く、自然に治ってしまうことがめずらしくありません。
アトピー性皮膚炎は、一度かかったらなかなか治らないという印象があるかもしれませんが、むしろこうしたケースのほうが一般的です。
たとえば、赤ちゃんのころに発症した子どもでは、小学校に上がるぐらいまでにすっかりよくなります。
しかしその一方で、治療によって一見、うまく治ったかのように思えても、大人になってなんらかのきっかけで再発する場合もあります。
このようなケースでは、以前の発症から、数年から10年ぐらいたって再発するケースが多く、症状は以前よりも重く、寛解する(症状がほとんどなく日常生活に支障がない、あるいは症状が少しあってもあまり悪化しない状態になる)までに時間がかかるようです。
悪化や再発のきっかけは、身近にあります
アトピー性皮膚炎を再発させないためには、皮膚を乾燥から守って、バリア機能を低下させないことがとてもたいせつです。
そのために日常生活では保湿外用薬を使ったスキンケアを続けて、皮膚への刺激をできるだけ避けるようにしましょう。
発症や悪化、再発のきっかけになる因子としては、ダニ、汗、花粉、カビ、動物の毛、住宅建材の化学物質など、さまざまなものがあげられます。
そして、アトピー性皮膚炎というと、特定の物質がアレルゲンとなって発症すると思われがちです。
ところが、実際は皮膚のバリア機能の低下が発症の根本にあるため、アレルゲンとの関係は必ずしもはっきりしないことが多いのです。
むしろ、日常生活の種々の皮膚への刺激のほうが、大きく影響しているといえます。
髪の毛、セーターなどの衣類、寝具、石鹸、ボディシャンプー、シャンプー、リンス、トリートメント、香水、化粧品、食べこぼしの汚れなど、身のまわりのほんのささいな刺激がきっかけということも少なくありません。
また、アトピー性皮膚炎は、季節、環境、生活スタイル、食生活など物質以外の変化によっておこることもあり、デリケートな病気といえるかもしれません。
アレルゲンとなる物質を除去することだけにとらわれることなく、毎日のスキンケアで皮膚を保湿して、できるだけバリア機能を保つように心がけましょう。
症状が悪化する季節に注意しましょう
アトピー性皮膚炎の患者さんのなかには、夏に症状が悪くなる人もいれば、冬に悪化する人もいます。
原因はわかっていませんが、アトピー性皮膚炎のタイプによって違ってくると思われます。
つまり、夏になると悪化する人は、汗に対して敏感に反応してしまうタイプ。
冬に悪化する人は、乾燥に対して敏感に反応してしまうタイプといえるでしょう。
どの季節に悪化するかは、検査などではわからず、その判断は患者さん自身の体験に頼るところが大きいといえます。
夏に悪化するとわかっている人は、汗対策を重点的にしたほうがよいでしょう。
冬に悪化しやすい人は、乾燥対策をしっかりと行いましょう。
さらに、悪化しやすい時期には、とくに念入りに生活環境などを整備して予防を心がけることがたいせつです。
ストレスは早めに解消しましょう
アトピー性皮膚炎の再発は、かぜにたとえることができます。
かぜは体の抵抗力が弱くなったときに引きますが、アトピー性皮膚炎は体に負担がかかったり、ストレスがたまったりして、無理が生じたときに症状がおこります。
幼児なら転園が再発の引き金になることもありますし、学校に通うようになると転校や受験、友人関係の問題が発端となって再発することがよくあります。
大人では転職、転勤、人事異動のほか、深夜勤務、過労、昇進などもきっかけになるようです。
再発させないためには、今の暮らしの環境を変えないことがいちばんですが、社会生活を営んでいる以上、そういうわけにもいきません。
人間関係も自分の思いどおりにいくものではありません。
ですから、「体に負担がかかっているな」と思ったときや、「子どもが無理をしている」と親が感じたときは、少し早めにストレスの回避や解消の対策をとりましょう。
受験がストレスになって再発した場合、合格すると治ってしまうというケースもよくみられます。
ふだんの生活では睡眠をしっかりとり、糖分や油分が少なく、栄養バランスのよい食事をしましょう。
これに加えて、趣味や運動などでストレスを解消することがたいせつです。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
熱中できる趣味をもっと症状がよくなる?
何か好きなことに熱中していると、かゆみを忘れることができます。
アトピー性皮膚炎の湿疹を悪化させるのは、かゆさのあまりかいてしまい、そのひっかき傷が原因になっていることもあるのです。
趣味に熱中し、かかずにすめば、ひっかき傷も少なくなりますから、少しでも症状が悪化するのを防ぐことができます。
なぜ、夢中になれるものがかゆみを抑えてくれるのでしょう?
趣味や好きなことが本当にかゆさを忘れさせてくれるのか、と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、非常に緊張したときなど、不思議とかゆみを感じなくなっていた、かゆみを忘れていた…、ということはないでしょうか?
また、緊張している間忘れていたかゆみも、緊張が解けたとたんに、またどっと出た…、ということがあるのです。
そもそもかゆみの場合、皮膚に特別の終末感覚装置がなく、細い神経繊維の終末が受容体のはたらきをしています。
そして、かゆみの激しいアトピー性皮膚炎などの病気の場合、表皮に炎症が起こると、かゆみの感覚の受容体が増えて、ますますかゆくなるのです。
かゆいときにかいてしまうと、かゆみの感覚ネットワークは密になり、ちょっとしたことでも激しいかゆみを感じるようになるのです。
受容体で感じたかゆみは脊髄を適って大脳に伝えられます。
緊張したときにかゆみを感じなかったというのは、大脳が緊張したり、他のことに熱中していたためにかゆみが無視されてしまったということのようです。
夢中になれるものをもつことがかゆみを抑える工夫になるというのは、そういうことなのです。
QOLを大切にした暮らし方
「アトピー性皮膚炎だからこれをしてはいけない」「あれもやってはいけない」と、生活の中で制限を多くつくってしまっては、患者さん自身のQOL(クオリティー・オブエフイフ=生活の質)が下がってしまうことになります。
だれもが「〜してはいけない」よりも「〜してみよう」といった、挑戦できることを考えていくほうが楽しいはずです。
好きなこと、興味のあることを自分の人生の楽しみにしていこうと取り組み、その結果、夢中になってかゆさも忘れられることができたなら、QOLがアップしたことになるのです。
「○○○をしているときはアトピー性皮膚炎のことも、かゆみも忘れてしまう」。
それくらい夢中になれるもの、熱中できるものを大切にすることで、QOLを大切にした豊かな暮らしが始まります。
そして、アトピー性皮膚炎とじょうずにつきあいながら、前向きに暮らしていくことができるようになるでしょう。
レジャーの勧め
大自然に囲まれた田舎の町で育った人は、都会で育った人よりも比較的、アトピー性皮膚炎の患者さんが少ないようです。
空気の美しい広々としたところで太陽の日差しをたっぷりと浴びて走り回り、泥まみれで遊ぶことは、皮膚を丈夫にします。
都会生活ではそういうことができなくなったということも、アトピー性皮膚炎になる人が増えた一因ではないかと思っています。
アトピー性皮膚炎ばかりではありません。
花粉症やぜんそくも、都会に住む人のほうがなりやすいようです。
たとえばスギ花粉症の場合、スギの木がたくさんある田舎の町で暮らしている人たちは、花粉がもっともよく飛ぶ時期、町の人ほとんどに花粉症の症状が現れると考えられますが、実際は、花粉症の人は少なく、むしろスギの木から離れた都会の人のほうが花粉症に苦しんでいるのです。
これは田舎に住む人と同じ量の花粉を吸ったとしても、都会に暮らす人の場合、花粉だけではなく、排気ガスもいっしょに吸ってしまい、この排気ガスによる複合汚染が原因となって花粉症になる人の数が多くなっていると言われています。
アトピー性皮膚炎も都会に暮らす人のほうがなりやすいのか、患者数も多いのです。
実証はまだされていませんが、これも排気ガスによる複合汚染であるとするならば、都会を離れ、自然に恵まれた田舎で暮らすことが花粉症やぜんそく、そしてアトピー性皮膚炎を防ぐことができるのではないかと考えます。
しかし、都会に住むアトピー性皮膚炎の皆さんに、治療のためだからと田舎に移住してもらうのはやはり難しいでしょう。
そこで私は、自然と親しむレジャーを勧めています。
アトピー性皮膚炎は風邪などの感染症のように、発熟したり、寝込まなくてはならないということはありませんが、やはりひとつの病気です。
ですから、「自分は病人なのだから、治療のためゆっくりと休む必要がある」と考えるようにします。
リラックスし、アトピー性皮膚炎であることを忘れてしまうほど、レジャーを楽しみ、熱中するのです。
しかし、レジャーといっても何をしてよいのかわからない、という患者さんがときどきいらっしゃいます。
レジャーとは何か? 私は、「みんなに喜ばれながら、自然のままの原始的な生活をする」。それがレジャーになると考えています。
では、「原始的な生活」とは何でしょうか? それは水道や電気など通っていない、自然のままに近い生活です。
不便だ、汚いと思われる人もいらっしゃるかもしれません。
そんな清潔であることに神経質にならないこと、大らかな気持ちでリラックスタイムを楽しむこと、それこそが「原始的な生活」と考えてもらえればよいかもしれません。
たとえばオーストラリアでイルカと遊ぶとします。
可愛いイルカといっしょになって戯れていると、童心に帰ったように楽しいですし、のびのびとした気持ちになれ、心を和ませてくれます。
ところが、イルカは決して清潔ではありません。
お風呂にも入りませんし、除菌もしてありません。
プランクトンなどさまざまなものが浮遊している海の中で暮らしているので、からだにはそうしたものがたくさんついています。
そんなイルカに直接触れ、いっしょに海につかって遊んだりするのですから、清潔とはいえない環境におかれているはずです。
しかし、そういうなかでイルカと遊んでストレスから解放され、日光を浴び、泳ぐことで症状がよくなることが多いのです。
このように遊ぶ本人も、それを見ている人も、みんなが楽しめる自然のままの時を過ごす…、それこそが「みんなに喜ばれながら、自然のままの原始的な生活をする」ということなのです。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
ウェットラップ法という治療法について
ウェットラップ法とは、皮膚の保湿効果を高める方法の一つで、皮膚のバリア機能の弱い重症・最重症の患者さんに行われることがあります。
保湿外用薬やステロイド外用薬で治療をしているにもかかわらず強いかゆみがある場合、この治療を行うと、皮膚をかく回数が減るといわれています。
やり方は、入浴して保湿外用薬やステロイド外用薬を塗ったあと、お湯がぬるま湯で湿らせた下着、手袋、靴下(衣類は包帯状の専用の布でできたもの)を着用します。
その上から乾いた専用の布を身につけて、2〜3時間ほどその状態を保ちます。
ウェットラップ法については、臨床試験によってその効果が確かめられていますが、これは保湿外用薬やステロイド外用薬などの治療をしている人を対象に、ウェットラップ法を行った場合と行わない場合を比較した結果です。
症状の改善には、やはり、保湿外用薬やステロイド外用薬の塗布など、基本の治療はきちんと行っていくことが欠かせません。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
入院するとどのような治療が行われる?
基本的に外来時と同じ治療を行う
外来で治療を行っていてもいっこうに症状がよくならない患者さんには入院し、治療に専念します。
そして入院生活を通して症状を軽快させるためには、どういう生活を送ればよいのか、どのようにケアすればよいのかを学習し、会得してもらいます。
患者さんが自分自身で行ったケアによって症状が軽快すると、自信がつき、退院後も「自分で治すのだ」という気持ちで治療に臨むことができるようになります。
医者は、患者さん自身が自分で治すための治療アドバイザーを務めます。
大切なことは「患者さんが自分自身の力で治す」ということ。
医者は、そのためのアドバイスをする立場で診察したいと考えています。
そして、それを実現するために教育のようなことをするのが、入院なのです。
入院中の生活と治療
入院中過ごす病室には、ベッドと机だけといった最低限必要な家具だけを置きます。
シンプルな部屋なので掃除もしやすく、アレルゲンをシャットアウトすることができます。
必要最小限の物しかない、日常から離れた自由もわがままもきかない環境の中で「もうジタバタしてもしかたない。寝るしかないな…。」 そうあきらめて休むこと。
これが入院治療の重要なポイントです。
刺激も苦しみもなく、心身ともに安静にすることで自分を客観的に見る力が与えられ、ありのままの自分を受け入れ、開き直ることができるようになります。
そのたあきらめて休むことめに日記を書いていただきます.
客観的に自分を見つめ精神的な変化が現れると、皮膚の症状もよくなっていくようです。
治療は、特別の場合を除き、外来で行っていたことと本質的には変わらない治療を継続します。
それに加え、薬の塗り方や日常のケアなど、退院後患者さんが自分でやらねばならないことを、医師や看護婦が改めてやり方をお見せし、正しい方法を学んでいただきます。
症状にもよりますが、こうした環境の中で治療を行うことで、たいていの患者さんは、入院後7〜10日くらいで症状が軽くなるか、完治したかのようにきれいになって帰ることができるようになります。
しかし、入院中よくなっても、退院後また入院前のように悪くなっては意味がありません。
入院して症状がよくなったら、そのことを日記に記録してもらい、退院後の日常生活のチェックポイントにしてもらいます。
入院中よかったことを自宅でも続けます。
アトピー性皮膚炎の治療は正しいケアの継続がとても大切なのです。
自宅にも入院環境の部屋をつくること
入院して症状がよくなったという経験は、患者さんに「治すことができる」という自信を与え、生活改善する意欲を高めてくれます。
その気持ちを退院後も日常生活に生かし、入院中に改善された状態を保つためにも、自宅に、入院していた環境に近い部屋をつくることを、医師はお勧めしています。
入院環境づくりは決して難しいものではありません。
ただ寝具と机だけを置いたシンプルな部屋でよいのです。
そして自宅で入院生活をしている間も、気持ちは「病院で入院しているのだ」という考え方をもって生活していただきます。
仕事や雑事など日常に関するものは、一切置かず、一切見ないで、日常から離れた、わがままや自由のきかない環境でゆっくりと休みます。
そうすることで病院で入院していたときと同じように、あきらめ、開き直ることができます。
このような環境を整えておくことで、症状が悪化した場合には、その部屋に入ると、入院中のような状態に自分をおくことができるので、自宅でも入院治療の効果が期待できます。
基本の治療で回復しない場合は、食物アレルギーを調べます
乳児の患者さんは、食物アレルギーを合併していることが少なくありません。
したがって、「環境の改善」、「保湿によるスキンケア」、「ステロイド外用薬などの薬物療法」の3つを行っても症状が改善しない場合は、食物アレルギーを疑って検査をします。
事例:入院治療の効果は、温泉のお湯のおかげだけではなかった!
温泉地にあるK病院では、アトピー性皮膚炎で入院した患者さんに温泉治療を行っています。
温泉治療に使われるお潟は、濾過して硫黄を抜き、弱酸性でマンガンなどのミネラルのみが入った透明のお湯です。
この病院に入院した患者さんの多くは、目に見えて治療の効果が現れ、退院していくので、「この病院に入院したらアトピー性皮膚炎がよくなるのは、きっとこの病院の温泉のお渇がよいからだ」という噂が広まりました。
この噂を聞いた近所のアトピー性皮膚炎の患者さんが、入院はできないけれども自宅で治療するためにお湯だけ欲しいと、K病院にお湯をもらいに来るようになりました。
ところが、このお潟をもらって、自宅で温泉に入った患者さんはだれも治療効果を得られなかったのです。
お湯はまったく同じなのに、なぜ効果が得られなかったでしょうか?
それは、お湯をもらって帰った患者さんたちは、お湯以外は何も入院環境を整えなかったからです。
入院患者さんは、専門医師の指導のもと、きちんと整えられた入院環境で心身ともに安静に過ごし、症状に合わせた治療が行われていました。
そのうえで温泉治療が行われていたために効果が得られたのです。
入院治療がなぜ効果があるかというと、自由、わがままのきかない生活の中で、心身ともに安静にして規則正しい生活を送るからで、これがアトピー性皮膚炎の治療にはとても重要なことなのです。
入院治療で行っていることを何か一つやってみただけでは、きちんとした治療効果は得られません。
本気で治したいならば、噂にまどわされたり、聞きかじりのことをちょっとやってみるのではなく、きちんとした入院環境に身をおくことです。
それは、どんな効能のある温泉のお湯につかるよりも効果の高い治療となり、症状を軽くしてくれるはずです。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
アトピー性皮膚炎を治す為の、2つの行動基準
大災害のとき、症状が治まった人がいる
大地震や水害に遭い、避難生活を余儀なくされたとき、その間、アトピー性皮膚炎の症状が治まっていたという報告があります。
緊急避難所ですから、普段暮らしている環境のように清潔で、快適な環境ではありません。
むしろ太勢の人が避難してくるために雑然と過ごすことになるので、掃除もできず、不潔になりがちです。
また避難所では精神的にも大きな災害に遭ったショックと、慣れない避難生活でのストレス、そして今後の生活についての不安もあります。
だれもがギリギリの状況に追い込まれているはずです。
しかし、何人かの患者きんは、避難生活の間はアトピー性皮膚炎の症状がぴたりと止まったかのようによくなっていたというのです。
さらに不思議なことに、その患者さんたちの多くが災害後、避難生活から元の生活に戻り、精神的に余裕が出てきたころ、また症状が再発したといいます。
このことからもアトピー性皮膚炎は、生活にも、精神的にも余裕があるとき、極端な言い方をすれば、甘えられる生活ができるときに起きるといえるのではないでしょうか?
さきに述べた日本と旧西ドイツに患者さんが多く、中国にはほとんど患者さんがいないということも、この考え方にあてはめることができるのではないかと思います。
アトピー性皮膚炎を治すためには、日常のケアも当然大切なのですが、精神的に大人としての責任と自覚をもち、物事に対応する思考方法、行動の仕方、自分自身で決断を下す訓練をすることがとても重要なのです。
そのために、次の2点を心がけまじょう。
- 自分はどのように身を処していくべきか、何をしたらいいのかを、人に頼らずに自分でじっくりと考える。
- 自分が考えて出した答えに自信と責任をもって決断し、行動に移す。
この「自分で考え、自分で責任をもって行動に移す」ということができれば、アトピー性皮膚炎の克服に向け、大きく前進したことになります。
一度に変わろうとしなくても、日々、小さな積み重ねでこの2点を実行できるよう自分を訓練していきましょう。
親と離れて暮らすようになってから、病院通いもしなくてよくなったケース
お母さんがアトピー性皮膚炎のB氏は、自分自身もアトピー性皮膚炎で悩んでいました。
B氏が結婚を約束したN子さんもアトピー性皮膚炎だったのですが、B氏のお母さんは、結婚するにはN子さんにきちんと治すように要求。
N子さんは、入院治療など行い、一生懸命治療に専念して、OKがもらえるまでによくなって無事、結婚することができました。
ハネムーンはオーストラリアへ、海辺で日光をたっぷり浴びて、汗をかいたら海水で流すなどしてゆったりとした数日間を過ごし、夫婦ともにアトピー性皮膚炎の症状が日本にいるときよりも格段によくなりました。
うれしくなった2人は、休暇を追加してとり、ハネムーンを一週間延期。
レジャーを満喫しました。
そのころ日本では、B氏のお母さんが、帰国予定の日から1週間も何の連綿もない二人がアトピー性皮膚炎が悪化して自殺でもしてはいないかと、心配しておろおろしていたことも知らずに…‥。
B氏は、このように予どものころからずっとお母さんに溺愛され、何かにつけて干渉され、自分の力で考え、責任をもって行動することがなかったのでしょう。
それがハネムーンで解放されて自然の中で自由を満喫し、皮膚によい環境でレジャーを楽しんだことで、アトピー性皮膚炎の症状がとてもよくなり、B氏は自分に自信がもてるようになったのです。
帰国後、B氏は自立の大切さを認識し、それを実現するためには親元を離れることだと考え、転勤願いを会社に出し、実家から離れた地方での生活をスタートさせました。
親元から離れた夫婦だけの新しい生活では、週末にレジャーへ出かけるなどして、今では夫婦ともに、病院に通う必要もないほどにアトピー性皮膚炎を克服することができました。
カテゴリー:アトピー対策・治療法
アトピー診察で全身を見せる理由
皮膚科で診察を受けると、患者さんのひざ、ひじの裏側、顔、背中、首などに湿疹が見つかった場合、いわゆるアトピー性皮膚炎の典型的な症状として、「これはアトピー性皮膚炎です」と診断されることもありますが、一般的な医者は、まず初めに患者さんのひざ、ひじの裏側、顔、背中、首など、湿疹がいわゆる典型的なアトピー性皮膚炎の湿疹が出るところにあるのを確かめ、それから全身を診て、「湿疹ができていない部分」を探します。
湿疹のできていない部分を探すというのは、湿疹のできていないきれいな部位を探し、その部分を広げていくためです。
湿疹のできていないきれいな部分を広げていくという考え方
からだのほとんどの部分に湿疹ができているのに、からだの一部が湿疹もなくきれいという人は、そのきれいな部分、たとえば下着(ブラジャーやパンツ)に覆われている部分だけ、あるいは靴下で覆われている部分だけ湿疹ができていないという場合、なぜその部分だけ湿疹もなく、きれいなのかを考えてみましょう。
そのきれいな部分を全身に広げていき、今、症状が出ている部分も湿疹のない、きれいな部分にしていくのです。
下着をつけている部分だけ、あるいは、靴下を履いていた部分だけきれいという人は、そこの部分の衣類の素材に注目します。
それは下着の素材が皮膚によい素材であり、下着あるいは靴下以外の衣類が増悪因子(悪化させる原因となっているもの)となっていると考えられるからです。
つまり、きれいな部分と同じような環境下におけば、湿疹が出ている皮膚にとっても「よい状態になる」と考え、きれいな部分と同じ素材のもので全身を包むようにしてもらいます。
そうすることで、皮膚の状態がかなりよくなったという患者さんも多いのです。
皮膚によい素材とは?
ではどんな素材が肌によいのでしょうか?
私は、肌に一番よい素材として絹をお勧めしています。
絹は繊維の間から汗を蒸発させてしまうので、繊維に汗が残りにくく清潔さを保てるからです。
絹以外ならば綿素材のものがよいでしょう。
できれば絹のようなさらりとした肌触りの平織りのものを選びます。
ただし、綿は繊維が津を吸うので着替えなければ、繊維に残った汀が皮膚を刺激するのでよくありません。
汗をかいたら、こまめに着替えるようにしましょう。
からだの一部が湿疹もなくきれいというケースは、その部分に絹あるいは綿などの素材の肌着をきちんと着ていたために、皮膚によい効果を与えたと考えられます。
素材選びは、アトピー性皮膚炎の患者さんの日常のケアとしてとても大切なことです。
診察室に来られる患者さんには、皮膚がきれいな部分を覆っていた下着、靴下の素材を確認し、同じ素材で全身を包むように、医者は説得します。
子どものアトピー性皮膚炎でも、赤ちゃんの場合、紙おむつに覆われている部分だけ皮膚の状態がきれいというケースがあります。
それは紙おむつが表面がつるつるしていて、吸湿速度、吸湿量に優れているために汗や尿をすばやく、しっかりと吸い取るといった工夫がこらされているからです。
そういうケースの赤ちゃんには、紙おむつで全身を包むようにすると、全身の皮膚の状態はかなりよくなります。
これと同じで、大人もよい環境下できれいな状態を保っている皮膚があれば、その部分と同じ環境にすることで湿疹のできている皮膚の状態はよくなるのです。
からだのある特定の部分に湿疹ができていない場合、「なぜ、この部分だけきれいなのか」ということを考え、身につけるものの素材から、毎日の生活まで見つめ直してみましょう。
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痒くて仕方ないときの対処法
アトピー性皮膚炎の湿疹がひどい部分はかゆみも強く、かかずにいられません。
しかし、かくと皮膚が傷ついてそこからばい菌が入り、じくじくしてくるなど、ますます症状が悪化してしまいます。
決してかいてはいけません。
とはいえ、かいてはいけないとわかっていても、やはり強いかゆみにはかかずにいられないものです。
強いかゆみはストレスになるほど悩まされます。
かゆさにはどう対処していけばよいのか、その対策を紹介していきましょう。
薬を使う方法
かゆいのは湿疹があるからです。
薬を塗り、きちんと湿疹を治しておけばかゆみに悩まされることもありません。
湿疹はステロイド剤を塗って治します。
かゆさを抑えるためには、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の飲み薬を飲みます。
もっともかゆくなるのは寝る前なので、寝る1時間前に飲んでおくとぐっすり眠れます。
薬の用い方として、副作用の少ないかゆみ止めを主に使い、湿疹がひどくなってきたらステロイド剤で治すという用い方でかゆみを止め、皮膚の状態をコントロールしていきます。
薬を使わずにかゆみを抑える工夫の仕方
・かゆい部分をラップに巻き、その上から冷たいタオルなどで冷やす(熱いタオルのほうが効くという人もいらっしゃいます。どちらがよりかゆみを抑えてくれるか、試してみてください)。
このとき、直接皮膚にタオルをあてたままでおいておくと不潔になって皮膚を刺激したり、濡れたタオルが皮脂を取ってしまいます。
必ずラップに巻いた上からタオルをあてるようにします。
・衣類に気をつける
下着の縫い目やラベルが肌に当たったところが赤くなったり、かゆくなったりします。
そういうときは裏返しに着たり、ラベルをはずします。
またゴムがきつくてもかゆくなります。
きつすぎるゴムはゆるめて、袖口などはゴム入りでない筒状のものを選びます。
・夢中になれるような趣味や好きなことを見つける
夢中になれるほど好きなことを見つけ、それに没頭するようにします。
その他のかゆみのコントロール法
かゆみがひどいとき、これらの方法のうちどれでもよいのでやってみましょう。
・かゆみを受け止める
大勢人のいるところでかゆみに襲われたら、決してあわてず、かゆいところを優しく手のひらで押さえます。
かゆみに「こんにちは」と挨拶するような気持ちで受け止める心の余裕が大切です。
・息を止める
息を止めている間は、息のことだけを考えます。
息のことだけに気持ちを集中させること。
いつでも自分が息を吸おうと思えば息はできます。
このことから自分が努力すればかゆみも遠のいていくことを覚えます。
・大声を出す
歌でもただ声をはりあげるのでもどちらでもよいので、大声を出します。
大声を出せない場合には、声帯を動かさずに大きな息を吐きます。
・からだをくねくねと動かす
太鼓をたたくようにからだをくねくねと動かし続けます。
ダンス、ジョギングなどでもよいでしょう。
・熱いシャワーを浴びる
かゆくてかきたくなったら熱いシャワーをかゆい部分に数十秒かけると、かゆさをやわらげることができます。
ただし熱いシャワーを長時間浴び続けることはいけません。
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妊娠中に食事を制限したら、子供のアトピー性皮膚炎は予防出来る?
妊娠中の食事と子どものアトピー性皮膚炎の発症にはなんの関係もありません。
アトピー性皮膚炎になりやすい体質は遺伝するので、母親や父親がアトピー性皮膚炎だと、子どももなりやすいことは確かです。
そのため、子どものアトピー性皮膚炎を予防しようと、妊娠中にアレルゲンになりやすい卵などの食べ物を制限する母親もいます。
しかし、医学的に証明されていることではありません。
気持ちはわかりますが、妊娠中は栄養のバランスのよい食事をしっかりと食べて、なるべくストレスのかからない生活を送ることです。
それがおなかのなかの赤ちゃんのためになります。
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PUVA療法
紫外線を使った光治療法のひとつ
治りにくいアトピー性皮膚炎の治療に、PUVA療法という紫外線の効果を治療に応用した光線療法があります。
ソラレンという薬を飲んだり、塗ったりしたあと、紫外線ランプを当てる治療です。
現在、この治療法は大人の患者さんにだけできることになっています。
「P」がソラレンの頭文字、「UVA」は紫外線A波を意味します。
この2つを合わせて「PUVA」となっているわけです。
紫外線を受けて初めて効果が出るソラレンは、免疫に関係するT細胞のはたらきを抑制するものと考えられています。
刺激に過剰に反応するなど、アトピー性皮膚炎は、過剰な免疫反応の一種であることから、免疫に関係する細胞のはたらきを正常にするこの療法が効くとされています。
ソラレンを使わずに紫外線だけを当てる治療法もあります。
紫外線だけでも免疫を抑制できるからです。
このときの紫外線は主にUVBです。
一般的に、このPUVA療法の治療は、入院して行われているようです。
また、一定の効果が期待できるのですが、健康保険が適用されないので自費となり、保険適用の治療よりも高額な治療費を払わねばなりません。
治療を受ける前に、医師とよく相談されるとよいでしょう。
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日記や記録などをつけたほうが、アトピー治療には良い?
初めて診察を受けに来られる方のなかには、「これを見てください」と、日記や毎日の変化を書いた大量の記録を持って来られる方がおられるそうです。
記録を残しておき、症状の経過を理解しておくことは大切なことです。
しかし、それは医師に見せるものではなく、自分白身で症状の変化などを把握し、医師に質問されたときにきちんと答えられるためのものとして利用して下さい。
診察とは、医師が「湿疹はどんなときひどくなるのか」「よりひどくなるのは夏か冬か」「夜にかゆみが激しいのか」など、一つ一つ質問し、それに患者さんが応えていきながら、その患者さんの症状の特徴などを明らかにしていくのが理想の診療だと思っています。
また、アトピー性皮膚炎はデータで判断するものではなく、その症状を診て判断するものですから、患者さんに裸になって全身症状を諺せてもらいます。
それによってアトピー性皮膚炎であるかどうか診断し、湿疹の出方などから原因を探り、患者さんの症状を把握します。
記録は自分の症状の経過を把握するのに、役立つものであることは確かです。
しかし記録だけに頼らず、医師との対話と全身症状を診せることで、過去から現在に至る症状の変化、特徴を理解し、増悪する原因を発見し、治療を行っていくことがとても大切だと私は思っています。
アトピー性皮膚炎を治すための診察の順序
- (1)患者さんの顔と手を診る
- (2)成人の患者さんである場合、裸になってもらい、全身の湿疹の様子を診る
- (3)全身のなかで、湿疹のできていないきれいな部分があるとき、湿疹のある部分をきれいな部分が拡大して、全身がきれいになれば治った状態であると認識してもらう
- (4)きれいな部分以外のところの憎悪因子は何かを調べる
- (5)憎悪因子がわかったら、それを避ける生活を積極的に送れるように指導する。
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「アトピーと訣別する!」と決意しよう
当サイト、「アトピーを治す!さようなら、アトピー性皮膚炎」に来られたあなたは、現在、きっとアトピー性皮膚炎に悩んでおられる方ですね。
アトピー性皮膚炎には、子どものころからずっと悩まされ続けているのでしょうか?
それとも、大人になってから急に症状が出てきたのでしょうか?
いずれにしても、今、湿疹、かゆみに悩まされていて、一日も早く治りたい、この症状から解放されたい、と思っていることでしょう。
かゆさから解放されるのなら、何でもやってみる……、そんなせっぱ詰まった思いの方もおられるかもしれません。
しかし、当サイトには、これをやったからすぐに治る。
かゆくなくなる、といった魔法のようなことは書かれていません。
というのも、残念なことにアトピー性皮膚炎は、よくなったり悪くなったりを繰り返す病気であり、感染症の病気のように、この薬を飲んだから、この薬を塗ったからすぐに治る、というものではないのです。
薬を正しく使うことはもちろん、それに加えて、あなたの日常生活での心がけ、コントロールがこの病気の症状を快方に導いてくれるのです。
ところが、患者さんの話をよく聞いてみると、そうした日常生活で気をつけることを知らなかった、あるいは巷に広がる噂を信じて、本当のところ肌にはとても悪いことをしていたということも結構多いのです。
当サイトでは、皆さんがそういった噂にまどわされないよう、正しい日常のケアについて詳しく解説していきます。
アトピー性皮膚炎は、「治そう」と決心しなければ、治らない病気です。
逆にいうと「治そう」と決心して、日常のケアをきちんと行っていけば、完全にとはいかないまでも、症状をかなりよくすることができる病気です。
ずっと何年もアトピー性皮膚炎だからもう治らないのではないか、などとあきらめないでください。
このサイトでは、「こうすればアトピー性皮膚炎と訣別できる!」そのための日常のケアについて詳しく説明しています。
これをきっかけに「訣別する」と決意し、当サイトで紹介したことをぜひ、実行していってください。
「自分で治す」という責任感、目的意識を確立すること。
それが、アトピー性皮膚炎に克つ基本です。
日常のケアについてだけでなく、気になる治療法についても紹介しています。
たとえば、最近もっとも注目されているタクロリムスという薬を使った治療です。
この薬をじょうずに使うことで、アトピー性皮膚炎のなかでも顔の症状が見違えるほどよくなったケースが多くあります。
それがどんな薬で、どのような治療法が行われ、その結果どんな効果が得られるのか、気になるポイントをまとめてあります。
当サイトでは、こうした今注目の薬、治療法についての話をはじめとしたアトピー性皮膚炎の治療について、また日常生活でのケア・注意点など、アトピー患者さんたちの事例も取り上げながら、日ごろ気になっているテーマから、またはふだんの生活のなかで疑問を感じたとき、知りたいところからお読みになってください。
日常生活で気をつけることが意外に難しいことではなく、小さな注意の積み重ねによって、症状を改善できることを知っていただければと思っています。
まず知ること、そして、それを確実に実行していくこと。
それが、アトピー性皮膚炎と訣別する第一歩であると私は思っています。
カテゴリー:アトピー対策・治療法


