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食事制限はするべきか?
因果関係がはっきりしない限りは、むやみに食事制限しない
アトピー性皮膚炎の患者さんのなかには、「食事で気をつけることは?」とか「食べてはいけないものを教えてください」といったことを質問される方がいらっしゃいます。
しかし、アトピー性皮膚炎は、食べ物が直接の原因でないことが多いので、原因もわからないうちから食事制限をするのは危険です。
食事については、因果関係がはっきりしない限りは、むやみに制限しないことです。
食事制限をする場合には、始める前に食べた物について厳密に記録する食事日記をつけてもらいます。
1ヶ月以上にわたり完全な日記をつけて、疑わしい食品が見つかったら厳格な除去食を日記をつけながらやってもらいます。
食事について注意することがあるとしたら、多くの種類の食材をバランスよく摂取することです。
私は食事に関して強い関心を示す人には、「回転食」を勧めています。
「回転食」とは、一つの食材を偏ってとらないように、「主食・タンパク質・野菜」といった形で食事の内容を分類し、それを回転させながら食材を選んでいく食事法です。
日によって食事の内容をがらりと変えるので、トータル的にさまざまな種類の食品を使った食生活となるわけです。
このように、回転食療法は、食事をローテーションさせていくことで栄養素がまんべんなくとれるのです。
回転食のやり方は、大きく分けて2つあります。
一つは除去する食品を決めて、それを含んだ食品は一切とらない日を決めて、回転させる方法です。
もう一つは、「牛の日」「豚の日」「魚の目」「卵の日」「豆の日」というふうに副食の食材を決めてから献立を決める方法です。
主食については、種類は少ないのですが、月曜日はごはん、火曜日はパン、水曜日はめん類の日にするなどして、献立に変化をつけ、食事を楽しみます。
種類豊富な野菜も、それぞれの栄養について気をつけながら旬のものをとり入れていきます。
大切なのはバランスよく食事をとること。
「食物アレルギー」を気にしすぎて、偏った栄養摂取をすると、栄養のバランスが崩れ、症状が悪化するなど、かえって逆効果となる場合があります。
特定の食品をとらないという「除去食」を強く希望される場合は、除去する食品の栄養について確かめて、代わりの食品できちんとその栄養を補う必要があります。
また、卵はダメだと除去していて、卵が原料であるケーキ、アイスクリームやプリンなどを毎日食べていては除去食にはなりません。
中途半端な除去食の仕方をしていては、アレルギーの原因となる食べ物をつきとめることもできませんし、除去食をする意味がまったくないことにもなるのです。
一定期間正しい方法で行い、結果が出なければ、それは除去した食べ物が原因ではないということですから、除去食は速やかにやめるべきだと考えます。
正しい除去食の仕方
(1)「これが原因となる食べ物だ」と思われる 食品を、まず除去してみます。
(2)皮膚は28日周期でターンオーバー(新陳代謝)します。
この周期を目安に、1ヶ月間、食物アレルギーのアレルゲンと思われる食品を完全に除いて皮膚の症状をみる「除去食」を行います。
(3)1ヶ月で皮膚の症状に変化が現れれば、食品アレルギーの可能性が考えられます。
(4)さらに除去食を3ヶ月続けてみます。
(5)3回ターンオーバーしてみて、症状がよくなったならば、その食品がアレルゲンであり、除去食の効果があったとみなすことができます。
(6)次に誘発試験(付加試験)を行います。
この誘発試験とは症状を誘発する試験のことです。
3ヶ月間除去してきた食品をここで初めて食べてみます。
(7))誘発試験の結果、症状が悪くなったならば、除去した食品が原因と断定することができます。
この一連の試験で実証されない限り、その食品を原因とは断定できません。
したがって、除去食を続けることは意味がなく、からだにも悪いので直ちにやめます。
除去食を行って、原因をつきとめるのも一つの方法ではありますが、大人の場合は、食物アレルギーとは原因が異なるケースが多いのです。
安易に除去食を行わず、医師と相談して、やるならば正しい方法で行うようにしてください。
まずできることをやってみる
「私の食物アレルギーは、お米がアレルゲンなんです」と言って、十分に調べることなく、お米を除去する患者さんがいらっしゃいます。
しかし、お米は食品としてかなり安全なものであり、アレルギーの原因になるとは考えにくいのです。
疑う気持ちもわからなくはないのですが、それならば、さきほどご紹介した除去食の仕方をきちんとやってみて、アレルゲンであることを実証する結果が出てから食事制限すべきです。
抗原検査(アレルギー検査)で、お米に対する反応がプラスと出たからといって、すぐにお米を除去し安心するのではなく、1ヶ月うどんとパンだけの食生活をしたら、本当に症状はよくなかったかどうか、それをきちんと確認すべきです。
ところが、検査でお米がアレルゲンだとわかったのでお米はまったく食べませんと言いながら、お米を使った食品であるおせんべいを食べたり、モロミを使ったお醤油などを使っている方がいらっしゃいます。
お米を絶つのならば、お米を使った食品も一切絶ち、その後の症状がよくなるかどうかをチェックしなければ除去食した意味がありません。
自分が本当に食物アレルギーであるためにアトピー性皮膚炎がひどくなっているのかどうか、またそのアレルゲンはお米なのかどうか、それらはすべて調べればわかることです。
問題は、本当に調べようとしたかどうかということです。
除去食を始めると言ってお米を絶つはずが、お米を使った食品を食べているということは、本当に調べようとしていないのと同じなのです。
また粗食がよいと、お米を絶って、ひえやあわなど食べている患者さんもいらっしゃいますが、これはアトピー性皮膚炎を治すよりもさきに栄養のバランスを崩してしまい、別の病気になるおそれもあるので危険です。
お米のもつ栄養をそれと同じ栄養価のもので補わなければ、栄養不足となり、体調バランスを崩すということも忘れないでください。
とにかく、わけもわからないまま、評判ばかりにまどわされて特定の食品をアレルゲンとして避けることは、からだにとってとても危険であることを知っておいてください。
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