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皮膚のケア季節によって変える
アトピー性皮膚炎の人の皮膚は、季節によってさまざまなトラブルが予想され、季節ごとの皮膚のケア、マネージメントが必要です。
夏には汗の刺激によって、冬には乾燥した空気の影響で皮膚も乾燥し、湿疹が悪化しがちです。
したがって、夏冬それぞれの季節に合わせた皮膚のケア、マネージメントを行っていく必要があるわけです。
しかし、実際にどのようなケア、マネージメントを行っていけばよいのでしょうか?
ここで、ケア、治療、マネージメントについてご説明しておきましょう。
「ケア」というのは、だれにもできる皮膚のお手入れのことを指します。
「治療」は、医師にしかできない皮膚のトラブル、病気などを治すために行われるものです。
「マネージメント」は、ケアでも治療でもない、区別できないものです。
これは化粧品を使いたい、きれいになりたいという患者さんのQOLを高めるため、医師が薬を使って、治療しながら皮膚の状態を診て、患者さんの皮膚に負担のないよう化粧品の使い方を指導、管理していくものです。
つまり、このスキンマネージメントは医師の指導のもとで行われるものであり、だれにでもできるものではないのです。
このカテゴリーでは、患者さんご自身が、季節ごとの皮膚状態に合わせて日常生活で実行される「ケア」について、また、薬といっしょに治療の一部として化粧品を取り入れる「皮膚のマネージメント」について紹介します。
季節と皮膚の状態によって、塗り薬を使い分ける
アトピー性皮膚炎の皮膚はすき間がたくさんできており、外部から異物が入りやすい状態になっています。
異物による刺激を受けると、湿疹などの症状も悪化しやすくなりますから、塗り薬は乳化剤などの刺激のあるクリームよりも、原則的にはワセリン基剤の軟膏を塗るのがよいと考えます。
クリームはよほど調子のよいとき、症状のよいところだけに塗るようにして、それ以外のときはワセリン基剤の軟膏を塗っておくのがよいでしょう。
また、夏は汗が皮膚の上で熱変化してしまうので、皮膚の状態はよくても、汗を皮膚の上にとどまらせてしまうクリームの使用は避けたほうがよいでしょう。
ワセリン基剤の軟膏は見た目にもべ夕べ夕していて、外出時に使用するには抵抗を感じられるかもしれません。
そういう方は、昼間はクリームを塗り(もちろんクリームも塗ってよい皮膚の状態のときに限ります)、夜はワセリン基剤の軟膏を塗るようにしましょう。
「昼間、人の前に出るときには治療をいったん中断する」と考えるのです。
昼は外見重視、夜は治療を重視という考え方で、昼間と夜に塗る薬を替え、皮膚の状態をじょうずに管理します。
このワセリンの「汗の穴(汗孔)からきれいに汗を出す」の特性は、「汗の穴をふさがずに汗を出す」ので、汗の穴以外の皮膚には汗がにじみにくくなりますから、化粧くずれしにくくなります。
この特性は化粧品メーカーからも注目されていて、ワセリンのなかでも高度に精製されたものは、ファンデーションなどに使われています。
ワセリンを使った化粧品を指して「鉱物から作られた化粧品は皮膚を刺激してシミになる」と謳って自然成分であることをアピールする化粧品メーカーもありますが、そうした情報は正しいものではありません。
きちんと精製された純度の高いワセリンを使ったものが化粧品には適しているのです。
夏の皮膚のマネージメント
夏は汗をかきやすい季節です。
汗をかいたらすぐに洗い流すなどケアをしましょう。
汗をかいたままで放っておくと、皮膚に残った汗はアンモニアや炭酸ガスに変化して皮膚を刺激し、湿疹を悪化させてしまいます。
汗をかいたら次のことに気をつけて、できるだけ早く、こまめに洗い流します。
・外出から帰ったらシャワーを浴びるなどして、汗はなるべく早く洗い流します。
・シャワーのときは汗をしっかり洗い流すために、水よりも溶解力の高いお湯を使います。
・お風呂からあがったあとは皮膚から水分が蒸発し、カサカサするので、入浴後には保湿効果のあるものを塗ります。
夏は保湿剤として、つけたあとにさっぱりとする乳化剤の入ったクリームがよいと思っていらっしゃる方が多いのですが、実はそうではありません。
夏は、汗が出る汗孔(汗の出る穴)をふさがないワセリン基剤の軟膏を使うのがよいのです。
冬の皮膚のマネージメント
冬の皮膚は乾燥します。
そのため汗をかいても、水分を皮膚にとどまらせるという考えから、すぐに洗い流さないといった汗に対する対策も夏のケアとは異なります。
次のことに注意して、冬も健やかな皮膚を保つように心がけましょう。
・乾燥しがちな皮膚の水分を保つため、汗を皮膚にとどまらせるようにします。
夏のように、汗をかいたからといってすぐにシャワーで洗い流す必要はありません。
シャワーを浴びるときも、夏のように溶解力の高いお湯を使ってはいけません。
汗を洗い流さないようにお湯で はなく、水で洗うようにします。
とはいえ、現実的に真冬に水のシャワーは冷たくてなかな か入りづらいものです。
理想はあくまでも水なのですが、それが無理ならできるだけぬるめ の水温のシャワーを浴びます。
・冬は保湿剤として乳化剤の入ったクリームを使いましょう。
汗がクリームの中に溶け込み、蒸発しないで皮膚にとどまります。
冬にワセリン基剤の軟膏を使ってもとくに問題があるわけではありません。
しかし、汗をとどまらせる効果のある乳化剤の入ったクリームを使うほうが、冬の皮膚にはよりよいでしょう。
これとは逆に、夏に乳化剤の入ったクリームを塗るにはよくありません。
汗がクリームに溶けてとどまり、その結果、とどまっている汗が分解して、尿素やアンモニアになり、それが皮膚を刺激します。
アトピー性皮膚炎の人の皮膚にワセリン基剤の軟膏は一年を通じて使えますが、乳化剤の入ったクリームは、冬に使って夏は使わないほうがよいのです。
夏と冬、季節によって変わる皮膚の状態について知っておき、ケアの仕方を変えるなど工夫して、皮膚の健康管理をきちんと行っていくことが大切です。
ワセリン基刑の軟膏を塗ると皮膚はどうなる?
なぜ夏に乳化剤の入ったクリームを塗るのがよくないのでしょうか?
それは乳化剤が入っていると、一度塗ってよくのばしても、のばしたものがもう一度白く乳化して浮いてくるからです。
この性質から塗ってのばしても、汗などかいて汗の水分が入ってくると、乳化して、また浮いてきてしまうことになります。
そのために汗が流れずに皮膚にとどまってしまうことになるのです。
汗が皮膚にとどまると、夏の気温は高いため、皮膚の表面でアンモニアや炭酸ガスに変化します。
アンモニアは分解されると尿と同じものになって皮膚を刺激し、湿疹などの症状を悪化させてしまいます。
ワセリンならば、その特性として汗孔(汗の出る穴)をふさがないので、汗をかいた皮膚に塗っても汗は汗孔からスムーズに出てくることができます。
したがって、汗を皮膚にとどまらせることはありません。
汗孔からきれいに出てくることができれば、汗は皮膚にとどまることなく蒸発していきます。
一方、冬は汗をとどまらせるために、保湿剤(クリーム状のもの)を塗ります。
しかし、冬にワセリン基剤の軟膏を使ってはいけないというのではありません。
ワセリン基剤の軟膏は、基本的にオールシーズン使っても大丈夫です。
季節の変わり目など、迷ったときは、ワセリン基剤の軟膏を使うとよいでしょう。
クリーム基剤は見た目はきれいなのですが、機能的には使う条件の選択が難しいのです。
アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚は汗をかくと、汗がカサカサになっている皮膚の角質層のところでまわりからじわ〜っと広がってしまい、汗孔から汗がきれいに出てこなくなっています。
これは、バリア機能がうまくはたらいていないためで、汗孔のまわりの皮膚の壁もしっかりとできていないのです。
そのような皮膚にもワセリン基剤の軟膏を塗ると、油分が補給され、汗が汗孔からきれいに出てくるので、皮膚の水分が必要以上に奪われなくてすむのです。
塗り薬の選び方について
自分の皮膚の症状がよくわからない、日によって変わるという場合も、ワセリン基剤の軟膏がよいと思います。
ワセリン基剤の軟膏は、アトピー性皮膚炎の軟膏治療の基本となる塗り薬です。
アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚のバリアがしっかりとできていないため、汗が出てきても、皮膚バリアが機能していない皮膚にしみ出していくのです。
ですからワセリンをまわりに塗って、油分補給し、汗孔から汗が出るようにします。
表皮がかさかさしていたり、かいたことで傷つき、なくなってしまうなど、表皮が壊れているときは軟膏(ワセリン基剤のもの)を塗り、表皮が壊れていないときはクリームを塗ります。
これは医師が読む軟膏学の本の初めにも書かれている基本的なことなのです。
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